横アーチ低下の原因は踵の崩れ

 

諸説ありますが、「踵の崩れこそ横アーチ低下の原因だ」と私は考えています。

横アーチの低下は、いわゆる開張足と呼ばれる足トラブルの1種です。

この開張足は、外反母趾や内反小趾をはじめとした様々な足のトラブルを引き起こします。

 

また、開張足になると足幅が広がったと感じ、大きいサイズの靴を選ぶ方が多いと思います。

大きいサイズの靴を履くことで、さらなるトラブルに繋がります。

 

そんな開張足の原因は、「踵の崩れである」という説がありますが、私もこれに賛成です。

 

なぜ、踵の崩れが原因で横アーチが低下し開張足になるのか?

私なりに考えていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

ユニットという考え方

 

横アーチの破綻を考える前に、足の動きをわかりやすくするためのユニットという考え方をご紹介します。

ユニットとは、、、

 

 

 

内側ユニットに属する骨が内側に移動すると、内側ユニットに属する他の骨も内側に移動するというものです。

 

これは、足の機能的な動きを捉えるのに役立ちます。

 

例えば、距骨は内側ユニットに属します。

距骨が内側に移動すれば、舟状骨や第1中足骨も内側に移動します。

 

さらに、踵骨は外側ユニットに属します。

踵骨が外側に移動すれば、立方骨や第5中足骨も外側に移動します。

 

 

通常、距骨下関節が回内すると、距骨は底屈・内転します。

そのため、内側ユニットの動きは内側に広がるように連鎖していきます。

この時、踵骨は前傾し、外に広がるように倒れ込みます。

その結果、外側ユニットの動きは外側に広がるように連鎖していきます。

 

 

 

理想的な横アーチ

 

横アーチの低下の原因を深堀りしていく前にもう1つ重要なのが、理想的な横アーチです。

何事も、目指すべきゴールが無いとどこを目指して良いかわからなくなってしまいますよね?

 

私の考える理想的な横アーチとは、

「第1列および第5列の直線的配列が保たれている状態」です。

 

 

この状態を保つために、第1中足骨は底屈・外転・外がえしを

第5中足骨は底屈・内転・内がえしすることが必要になってきます。

 

 

 

 

横アーチ低下の原因

距骨が内側へ移動すれば内側ユニットも内側へ、

踵骨が外側に移動すれば外側ユニットも外側へ移動するということを説明しました。

 

これらの動きに連鎖して、中足骨頭間は離れていく方向へ移動します。

結果として、横アーチが低下し開張足となります。

 

このように、横アーチ低下の原因は、距骨と踵骨の破綻、

 

 

つまり「後足部の破綻」に潜んでいるかもしれません。

 

 

 

横アーチの3つの破綻タイプ

 

今までの流れで考えると、

 

・距骨だけが内側に倒れる場合

・踵骨だけが外側に倒れる場合

・距骨と踵骨がそれぞれ倒れる場合

 

上記のようなパターンが考えられます。

 

つまり、横アーチの破綻には3つのタイプが存在すると捉えることができます。

 

3つの破綻タイプとは、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

「内側型・外側型・両側型」の3種類です。

 

それぞれ、内側・外側・両側ユニットの破綻が関係しています。

例えば、「外反母趾はあるけど小趾はまっすぐ」という場合は、内側型の開張足と判断します。

 

 

 

横アーチの3つの破綻に共通する最大の原因

 

先ほど、横アーチが低下する原因について、後足部の破綻が影響していると説明しました。

後足部とは、いわゆる距骨下関節という関節のことを指します。

距骨下関節は、距骨と踵骨で構成されています。

これらの骨の崩れ方によって、3つの横アーチ破綻タイプがあると言いましたが・・・

 

実は、

 

 

 

 

 

共通する最大の原因が存在します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが、踵骨の前傾です。

 

踵が前に倒れこむことで、前足部に体重がかかり横アーチが低下します。

 

 

加齢による影響

 

アシックスさんによると、女性は30代から踵が前傾し、50歳を超えた頃から顕著に前傾していくそうです。

さらに、踵は内側に倒れるのではなく、内側への傾斜は加齢とともに減少するとしています。

 

つまり、50歳を超えると、踵が前に倒れ込み踵の内側への傾きが減少していくということ。

 

この結果、50歳を超えると、大半の人は足が外側に広がるとされています。

 

 

 

果たして本当にそうなのか??

フットプリンターなどの器具がないので、かなり簡易的ではありますが、実際に足型をとってみました!

 

 

 

 

 

なるほど、確かに外側に広がっていそうですね!

 

 

 

横アーチ低下の原因は踵の崩れ

 

ここまで、横アーチの低下は踵の崩れだ

という説明をしてきました。

 

踵の崩れは、後足部である距骨下関節の崩れ方によって3種類の横アーチ破綻タイプが存在します。

さらには、踵が前に倒れこむという共通点がありました。

 

50歳を超えると、このような破綻が加速していくことが予想されます。

このような破綻は、将来的に変形性膝関節症をはじめとした退行変性疾患へと繋がっていく。。。

と私は考えています。

 

 

そうなる前に、踵の崩れを修正し足の変形を予防していくことが、これからの時代で大切になってくるのではないでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

1)アシックス スポーツ工学研究所,究極の歩き方,講談社現代新書,2019

2)Thomas C. Michaud(著),加倉井 周一(訳),臨床足装具学,医歯薬出版株式会社,2005

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