日本国内で英語関係の試験として有名なのは、

TOEIC、TOEFL、IELTS、英検、国連英検、あたりかと思うのですが、

今回、自分が受験する前提で、

IELTS、英検、国連英検に関して、

難聴者(聴覚障害認定に満たない)が受験に際して受けることができる特別措置の

内容と、必要な申請・手続きについて問い合わせをして、

すべての回答が出揃ったので改めてこちらでまとめます。

 

一部、少し前のブログと重複がありますが、

すでにご覧になっている方は適宜読み飛ばしながらご確認いただければと。

 

IELTS(アイエルツ)

International English Language Testing Systemの略。

英語熟練度を測る英語検定の1つで、ケンブリッジ大学英語検定機構、ブリティッシュ・カウンシル、IDP Educationによって協同で運営されています・

 

TOEIC L&Rはリスニングとリーディングのみですが、英検と同じく4能力が問われ

ます。受験料お高めの25,380円。(2019年12月現在)

日本国内、たとえば就職や転職においてIELTSが求められるケースはおよそ一般企業

では見たことがありませんが、

海外のビザ申請などにはIELTSのスコアが求められることが多いようです。

スコアは1.0〜9.0点のバンドスコア。

6点超えていればまあまあ。

身分証明書にパスポートしか認めていないというところもすごいですね。

(パスポート持ってないと受験すらできないらしい)

 

IELTSの特別措置(学習障がい、聴覚障がい、視覚障がい、運動障がいがある受験者の方々への特別措置が用意されています。と謳われています)についてはこのページに色々書かれているのですが、

問い合わせた結果、確認ができたことは以下の通り。

 

・特別措置は日本側単独で判断できる内容と、イギリスに確認を仰がなければ

 いけないケースがあり、前者は日本語の診断書でOK、後者の場合は英語の診断書

 が必要になる。

 

・例えば、リスニングテストで、CDプレイヤーにイヤホンを付けて音量を上げて

 聞いて受験する、スピーキングテストの場合、かなり大きな声かつ通りやすい声質

 のExaminerに担当してもらう対応で良ければ日本側で準備・ジャッジ可能なため、

 診断書は日本語でOK。(担当者によると、聴覚障害を持つ受験者は、リスニングや

 スピーキングテストの免除を希望するケースが多いとのこと。

 この場合は、IELTS本部のSpecial Needs担当者に相談をしながら対応を決定する

 ことになる模様です。

 したがい、試験の一部免除を希望する場合は英文の診断書が必要になるそうです)

 

・CDプレイヤーからイヤホンを通して直接音を聞く場合は個室対応となるため、

 部屋の確保、別途試験監督の手配等が必要になり、受験日については双方で

 調整が必要になります。ただし、これら調整を経て、実際に受験をするか否かを

 決めることができるようで、たとえば診断書と受験料を先に支払って、

 結果的にろくに特別措置を受けられず受験でベストを尽くすことができなかった、

 という事態に陥るのは回避できそうです。

 

・IELTSの文書保管義務が3年となっている関係で、3年以上経過して再受験する場合

 等は再び診断書が必要になるそうです。

 

国連英検

HPより抜粋

国連英検は国連普及活動の一環として実施されており、国連の理念である「国際協力」「国際理解」をコンセプトに「真に役立つグローバル・コミュニケーション能力」の育成を目標としています。

試験出題トピックも国連の活動に沿って、世界平和、地球環境、世界政治、世界経済、人権、食品、医療等の世界情勢・国際時事問題を広く取り扱っているので、今まさに地球上で問われている問題を認識し、自分の考えや解決策を論理的に伝達する表現力が求められます。単なる語学力の判定にとどまらず、総合的な国際コミュニケーションスキルが問われる検定試験です。

 

…ということで、国連の活動についての理解や、国際問題等についての自分の意見を

英語で述べる、ということなどが試験の中で問われます。

A級の場合だとリスニングはなし、一次試験はリーディングと作文、二次試験は面接

です。(B級までは面接がないかわりにリスニングがあります)

 

前回衝撃のメールをいただいた国連英検ですが、

面接試験のあるA級、特A級について、聴覚についての特別措置を問い合わせた

のは私が初めて(=前例がない)ということで、今回、改めて検討をしてくださったようです。(前例がない、という予想の斜め上を行く回答でこちらもびっくりしました)

 

(前回までのメール)

「B級からE級までのリスニングテストに関しては、座席の変更やヘッドホンの使用

 などの対応はしておりましたが、面接試験のあるA級、特A級に関しては、

 今回がはじめてのお問い合わせで事務局でも色々と検討をしておりました。」

 

 ↓

(今回新たにいただいたメール)

「国連英検A級の1次試験は、リスニングテストは、ありませんのでヘッドホンなどは

 必要ないと思います。また、2次試験では、面接官の声が受験者の方に届く位置に

 椅子を移動いたします。

 検討いたしました結果、診断書のご提出は必要ございません。
 他にご要望がございましたら、御遠慮なくお知らせください。」

 

おおお… 神対応…?

 

まぁ、喜ぶのはまだ早いんですが。。。

A級と特A級はプロフェッショナルレベルとなっていて、

国連英検各級の合格者のTOEICでの保持スコアはA級で918点、特A級で967点という

恐ろしい統計になっていますのでたくさん勉強しないとです。

 

■英検

英検は、もう皆さんご存知だと思うので説明は割愛します。

4能力が問われるのはIELTSと同じです。

 

障害者手帳を持っているかどうかで措置の内容に差がつくような説明が受験サイトには載っているのですが(障害等級の認定に届かない難聴者にとってはかなりシビアな内容)

実際には、障害者手帳がない受験者でも、エビデンスを添えて、特別措置を申請する際、希望する措置を要望として伝えることはできるようです。

 

診断書以外がOKかどうかですが、

聴力検査の結果とか診断書とか会社で業務上配慮されていることを証明する書類とか、

何かしら提出してもらえたら、有識者(専門医?)の意見を聞いて、その判断によってはハンデに配慮したかたちで受験ができることがあるとのことです。エビデンスの柔軟性が素晴らしい!

 

なお、リスニングのイヤホン受験は現時点で対応していないけど、

今後検討していきたいとのことでした。

 

もちろん、特別措置が受けられるかどうかは確定していませんし、

受けられる措置の内容がどうなるか、も申し込み時点でははっきりしませんが、

それでも受験者にできるだけ良い環境でと考えているんだろうな、という姿勢は

伝わってきました。

 

あと、英検は一度エビデンスを提出すれば受験の都度、

エビデンスを出さなくても大丈夫なようです。

 

ということで、IELTSと国連英検と英検についてわかったことをまとめました。

一口に難聴と言っても難聴の程度によってリクエストしたい内容は変わって来ると思いますし、

あくまで上記は私の聴力をベースにした問い合わせ結果で、必ずしもすべての方に当てはまるとは限りませんが、参考になれば。


あとはやはり問い合わせてみるのが一番確実ですね、身も蓋もないですが。

問い合わせが増えると、試験団体も、「こんなニーズがあるんだ」とか、

「こんなにハンデがあっても受験したいと考える人は多いんだ」とか、

色々、気づいて、より快適な受験環境の準備を目指して考えたりする機会が増えるかもしれません。

巨石を一人の力で動かすのはとても難しいですが、

何人かいれば、大きな石も動かせるかもしれません。

 

「◯◯してくれない」と不平不満を言う前に、

自分でやれることをやって、それでもダメなら、文句言ってもいいですが、

何もしないで「待ち」の姿勢で他責にしたり文句言うのはダメですね。

何でも、自分で動いてナンボです。選挙も一緒。

 

とはいえモンスタークレーマーになるのではなく、

お互いにとってより良い関係づくりというか、歩み寄りできるのが理想的では

ないでしょうか。

今、自分が納得するだけの措置が用意されていなくても、

それは単にニーズを認知できていないからだけかもしれません。

(国連英検の例のように)

 

言い方は悪いかもしれませんが、

大抵の場合、マジョリティ=健常者は、ハンデがあるマイノリティのことなんて

十分に理解できません。身内や身近にそういった方がいらっしゃる場合は別として。

自分がなってみないと必要なこともわからないし、苦労もわからない。

でも、それをマイノリティ側が「なんでわかってくれないの!」と押し付けても

仕方ないので、

理解してもらえるように働きかけることが大事かなと思います。