7月2日~7月13日 | 仁志敏久取材日記

7月2日~7月13日

7月9日(日)


1軍登録を抹消されてから1週間が過ぎていた。


再調整という名目のもと、2軍生活を送っていた仁志選手。

この期間中、バッティングフォームを固めるということを一つのテーマとしていた。


「まずはフォームを固めたい。打席が1度しかないのに、バッティングを悩みながら

やってたら、9割方負けたと同じことだから。」


この日は、ジャイアンツ球場で、桑田投手を相手にシート打撃を行った。



約15分間。桑田投手の投げた球は49球。

長田選手と交互に打席に立ち、非常に良い当りを特に右方向へと飛ばしていた。


「桑田さんみたいにコントロールの良いピッチャーに投げてもらって、

すごく良い練習になった。

変化球も交ぜてくれたし(キャッチャーのサインで)。ストレートだけってわかってると、こうしなきゃとか、

頭でいろいろ考えちゃうけど、見送ったり、実戦に近いかたちで出来たから良かった。」


フォームも固まってきたようで、1軍へ合流する日も近いと誰もが感じていた。


「監督には、調子が上がって来たら教えてくれと言われてる。

1軍に上がる時期については、監督と話して決めることになると思う。」


桑田投手との対戦もよほど充実していたのか、表情も明るい。

この分だと、週末(14日)の神宮3連戦からの1軍合流が濃厚かと思われた…。


7月11日(火)


休養日明けのこの日。

午前中の練習を終えた仁志選手は、一転険しい表情に。


「週末から、イースタンの試合に5試合出ることになった…」


どうやら、また話しが変わってきたようだ。

これで、神宮からの1軍合流はなくなった。


しかし、午後の練習が終わると、

「神宮に行く。

(約束通り、調子が上がってきたことを伝える為)

監督と電話で話したら、神宮から来いって言われた。」


全体練習が終わり、室内に場所を移して、

ティー打撃。

最後の一人となるまでバットを振った。


準備万端。



7月13日(木)



「落ちるのは早いけど、上がるのはゆっくり。落ちたスピードでは上がれない。

昇格してすぐ大活躍っていうのは無理かもしれないけど、一つ一つしっかりやるしかない。


1試合で3勝は出来ないし、1打席でヒット3本は打てないからね。」



最終日。

帰り際の駐車場で沢山の報道陣に囲まれこう語った。


この頃、読売新聞本社では、

原監督が渡辺会長、滝鼻オーナーに対し、

シーズンの中間報告を行っていた。


現在8連敗中。適地での連敗は17にまで伸び、

最下位転落のピンチを迎えていた。



7月14日神宮球場。

ヤクルト戦。


試合前のグラウンドには真新しいスパイク、手袋を身に付け、

真っ黒に日焼けした仁志選手の姿が。



8番セカンドでの先発出場がアナウンスされた。





試合前。


「やることは決まってるから、あとはそれをやるだけだよ。

やること?

それは、5時間後にはわかるよ。」