今の状態 | 仁志敏久取材日記

今の状態

本日、野手陣の全体練習は室内で行われました。


守備練習から始まり、ティーバッティング。

そして、シート打撃。


本日のシート打撃でマウンドに上がったのは辻内。


仁志選手は、原俊介らと共に順番で打席に立ちました。


実戦形式で行われる為、実際に捕手がカウントと取ります。


1打席目。

初球をセンターバックスクリーン方向へ会心の当り。(室内の為、実際の打球はピッチャー後方のネットに当たっています。)


2打席目。

0-3から、見逃しストライク、ファール、ファールで2-3からボール。四球。


3打席目。

1-1からの3球目をショート頭上へライナー性の当り。


仁志選手自身が状態は良いというように、ヒット性の打球を飛ばしていました。


それにしても、この日辻内は約40球を投げたが、変化球は全て抜けてしまい1球も

ストライク入らず…。

仁志選手も(辻内について)

「うーん、(今のところは)厳しいね…」


仁志選手、シート打撃のあとはマシン相手に打ち込み。


今の状態。


「今は、ダメだったところがわかってきた。

思いついたっていうより、思い出したって感じかな。


ここのところを、こうやって、こうすれば、こうなるんだっていうのがわかったんだよね。


今シーズンはずっと悪かったから、見えてこなかったんだけど、

なんでだろうってずっと考えてて…。

やってて、頭と身体の感覚がどうも違ってた。頭で考えてるのと、身体の反応が。

思ったような打球が飛ばなかったり。


自分の感覚では…。 少し合ってるんだけど、少し違ってた…。


神宮でもタイミングは良かったんだけど、だんだん、あ、昔はこうゆう風に打ってたなって

いうのを思い出してきた。


だから、今の練習の意味がある。」


思えば、2軍での再調整といえども、誰かの指導を受けるわけでもなく、

課せられたメニューがあるわけでもない。これをこなせば修了となるわけでもない。

(そもそも監督、コーチはそこにいない)


あくまでも自分で考える。


プロであるならば当たり前といえばそれまでだが、

中には出来ない者も居るということは、実績となって表れているのではないだろうか。


人の身体は、骨格から筋肉まで一人一人全て違う。

誰一人として、同じ体格の人間はいない。


それと同じように、バッティングというものも、全ての人間にとって

同じ答えがあるわけではなく、打者の数だけ答えがある。

(答えというと語弊があるかもしれない…。バッティングに答えがあるかということに

ついてはここでは省くが…)


もちろん、基本の部分や、客観的に見る目、大多数の経験則から

導かれる指摘というのも、野球においては大事な要素である。

それは、人間の身体の構造という部分に関しては基本的に皆同じだから。


問題は感覚の部分。自分にしかわからない感覚の部分が

人の意見と一致するというのはなかなか難しい。


自分で考える。


それができるかできないか。 プロで生きていく為に必要なこと。


今日、仁志選手に話しを聞いていて、ふと、こんなことを考えた。


 そういえば、前に仁志選手がこんなことを言っていた。


           『バッティングって水面に浮くか浮かないかのぎりぎりを泳ぐようなもの』

             

                 ( 2006年7月5日 仁志敏久 練習終了後 室内練習場にて)