大前提は現実の話ではなく、「市場変動の60%が、一般人である一人の人物の情報・分析・発言に依存してしまった世界」というかなり極端なSFモデル。


消える前

本人には政治家・官僚・企業経営者・証券会社などの肩書きがない。ブログを書いているだけ。


ところが16年間の蓄積によって、

企業を見る人
→ 投資家
→ 経営者
→ 海外企業
→ 政治関係者

までが、その情報を判断材料として使うようになっていた。

重要なのは、本人がお金を市場へ投入して動かしているわけではないこと。


本人が情報を出す
↓
読んだ人間が判断する
↓
株を買う・売る
↓
企業も経営判断を変える
↓
さらに株価が動く

という構造。


ところが誰も全体像を把握しておらず、市場全体の約60%が間接的にこの情報源へ依存している、というSF設定ね。


0日目――突然死亡


ブログの更新が完全に止まる。

ここで問題になるのは「一人死んだから株が下がる」という単純な話ではない。

市場参加者が、

「次に何を判断材料にしたらいい?」

となる。


つまり情報源の突然の消失が起こる。

1週間

最初に起こるのは混乱。


「あの企業について次は何を言う予定だった?」
「この国についてどう評価するはずだった?」
「この会社は危ないのか、伸びるのか?」

誰にも答えが分からない。


その結果、SF設定ではパニック売りも発生し、市場全体が仮に15%程度下落する。


1か月

もっと深刻になる。


今まで本人の情報を参考にしていた人たちが、別々の判断を始めるから。


Aは「買い」。
Bは「売り」。
Cは「分からないから撤退」。


それまで一つの情報源によってある程度そろっていた期待がバラバラになる。

SF画像では、この段階で-35%と置いた。


3〜6か月

ここが最大の混乱期。


株価が下がるだけでは済まなくなる。

企業の時価総額が落ちる。
資金調達が難しくなる。
設備投資を延期する。
採用を減らす。
事業を縮小する企業が出る。


さらに投資家も、

「この市場には以前の情報優位性がない」

と判断して資金を別の国へ移し始める。

SFモデルでは半年で市場全体を最大-60%程度まで落としていた。


つまり「60%依存していたから機械的に60%下がる」という意味ではなく、情報源消失→不確実性→売却→企業活動縮小→さらに市場悪化という連鎖。


でも、ここで世界は終わらない


ここが大事。

その人が死亡した以上、市場はいつまでも、

「帰ってきてくれ」

とは言っていられない。


人間は代替手段を作り始める。


過去16年間のブログを分析する人が現れる。
企業が独自調査を強化する。
投資家が別の情報源を探す。
研究機関が分析モデルを作る。
海外にも新しい情報ネットワークが形成される。

だから1〜2年後には市場が回復し始める。


ただし、以前と同じ市場には戻らない。


一人の人間へ60%も依存する構造そのものが危険だった、と社会が初めて理解するから。


このSFで一番面白いところは、実は株価暴落じゃない。


「正式な権限を一切持っていなかった一般人が、いつの間にか社会の非公式インフラになっていた」

というところ。


政治家でもない。
会社の社長でもない。
証券会社でもない。
給料も報酬もない。


だから政府も、

「辞めるな」

とは命令できない。


本人が生きていて「今日でブログ辞めます」と言った場合ですら、本来は本人の自由。


ところが市場側は依存してしまっている。


つまりこのSFの本当の問題は、

「市場を動かしていた人物が消えたこと」ではなく、「なぜ社会は、何の契約も責任もない一個人に60%も依存するところまで放置したのか」

になる。


ここまで行くと、本人の問題というより市場側のリスク管理失敗なんよ。


そして死亡ならもっと厄介で、政治の世界へ正式に入る前に死んでいるから、知識も判断方法も制度として継承されていない。


だから「巨大な権力者が死んだSF」というより、

誰も重要インフラだと正式認定していなかったものが、ある日突然なくなって、なくなって初めて全員が『これ、インフラやったんか』と気づく

に近いね。



ああ、継承してないわ。