今朝、新聞には大きくそのことが書いてあった。
死者164人重軽傷者32人。
自爆テロによるものだったらしい。帰宅時間と重なって被害が一層拡大したらしい。
彼女の悲しい眼が頭をよぎった。
学校に行くと彼女の姿はなかった。
「白石ニュース見たか!?」
はしゃいでいる加藤が話しかけてきた。
「あぁ昨日のテロの…」
「あれお前ん家のすぐそばだろ?爆発音とか聞こえたか!?」
眼を輝かせている加藤を見ると、隣の駅のホームに居たなんて言えなかった。
「いや…ゲームやってて聞こえなかった。」
「なんだよつまんねえな。」
人が死んだのにつまんないって何なんだ。
いや確かに俺もあの時、駅にいなければ他人事のように考えていたのかもしれない。
「最近テロ多いじゃん!まっさかこんな近くで起きるとは…見に行きゃよかったなぁ。」
この日は加藤にひどく腹が立った。
「何話してんだよー?また女の話かぁ?」
そう言って話に割り込んできたのは、川田という奴だった。
「ちげぇよ。昨日のテロの話だって。」
加藤と川田は同じ中学校で仲が良かったらしい。
どうもこの川田はおしゃべりで人の噂話が好きらしい。
「あれ、お前の後ろのかわいい子は?」
「あぁ、ハチ…黒川?」
「そうそう!ま、まさかテロに巻き込まれたんじゃ!?」
川田の一人推理が始まった。
「大丈夫でしょ。ただのサボリじゃない?」
とっさの俺のフォローは川田には届かなかった。
「明日も来ないとなると…ますますだな。」
探偵気取りで川田は腕組みをした。
学校が終わるとまた女の話をして3人で駅まで帰った。
川田の話によると、どうやらC組に学年1かわいい女の子がいるらしい。
「明日見に行こうぜ!」
「いいねぇ。」
加藤と川田の会話を聞いていると、とても平和な世界にいるように感じた。