さて、今の私には、ラミレス監督だの、横浜のクライマックス出場だのは、もはやどうでもいい。
私は、ただただ加賀先生の引退を悲しんでいるのだ。
思えば、あの悪しき中畑政権のなかで、唯一の希望と言えたのは、加賀先生と林サマの縦横無尽の活躍ではなかったか。彼らは毎日のようにさっそうと出て来て、サクッと仕事をして帰って行く。そして、誰にも褒められることはなく、チームも最下位に沈んでいた。これこそ、鴨長明の「方丈記」、あるいは宮沢賢治の「雨ニモマケズ」的な精神と言えるではないか。
まさに彼らは、「願わず、走らず」、「イツモシヅカニワラッテヰル」、謙虚な人間の代名詞だったと言えるだろう。
そんな先生が、いよいよユニフォームを脱ぐというのだ。こんなに悲しいことはない。彼こそ、日本シリーズの胴上げ投手となるにふさわしいと思っていたのに。ただ、とにかく先生の今までの活躍と、そして夢と希望を私に与えてくれたということにただただ感謝して、ありがとうということばを伝えたい。
ただ、私の話はこれでは終わらない。とにかく、現在のプロ野球界の、「中継ぎ投手使い捨て問題」にメスを入れたいのだ。
現在の日本のあらゆるプロスポーツの中で、この「中継ぎ投手」というのは、いちばん劣悪な環境下で働かされていると言っても過言ではないだろう。それはもう、ドス黒いブラックだと言える。とにかく彼らはいつ出番が来るかもわからずに、「行け!」と言われたら、行きたくなくてもマウンドに上がらざるを得ないのだ。そして、抑えても、そんなには褒められない。打たれたら、めちゃくちゃ叩かれる。最悪だ。さらには、マウンドに上がらないときでも、毎日肩を作っていなきゃならない。結果として、年を経るごとに彼らは消耗していく。まず、中継ぎで10年もつ選手はいない。でも、首脳陣からしたら、代わりはいるから問題ないということになるし、最終的には「体づくりも仕事のうち」とかいうムチャクチャな論理で説き伏せられることになる。ファンも、彼らのことは忘れておしまいだ。
こんなことでいいのだろうか?
とにかく私が思うのは、中継ぎ投手は、シーズンで60試合以上が「デスライン」と呼ばれ、彼らの選手生命にかかわるということだ。
これには、根拠がある。
まず渦中の加賀先生はどうか。
2012年 61試合(26ホールド)
13年 48(9)
14年 37(13)
15年 9(3)
明らかに、2012年を境に下降の一途だ。それでも16、17年は26試合(6ホールド)、33試合(10)と回復のきざしは見せていたが、かつての球威はなくなっており、外人右打者(特にバレンティン)専用の投手のような扱いをされていたものだ。それは、彼の「実力不足」だけの問題なのだろうか?明らかに、61試合登板のツケを払わされたんじゃないのか?
須田ちゃんはどうか。
彼も、2016年、62登板のツケを、肉離れという形で払わされた。今年もほとんど1軍には上がれず、「引退」の2文字が近づいてきている。
タナケンは。
2016年、61試合。17年、60試合。
そのツケを、今年になって払わされつつある。今年はわずか10登板だ(9月14日現在)。
砂田は。
昨年、62登板。そして、本日60登板に達してしまった。
きっと彼は来年、そのツケを払わされることになろう。間違いなく。
三上タンは。
彼は、新人の2014年に65登板(21セーブ、13ホールド)という離れ業をやってのけた翌年に、すぐにそのツケを払わされた。
15年 21試合
カムバックした16年は59試合、17年、61試合。そして今年もすでに57登板。
はっきり言っておこう。来年は、彼はもたない。投げさせ過ぎている。
じゃあ、ヤスアキは。
彼こそ異例中の異例、2015年、新人での58登板(37セーブ)という華々しいデビューを果たした。
16年 59試合(33セーブ7ホールド)
17年 68試合(26セーブ15ホールド)
で、今年は49試合(30セーブ)。
そろそろ、「終わり」の足音が近づいてきてるんじゃないか?
ただでさえ、彼のクロスステップの投球フォームはカラダへの負担が大きいと言われている。首脳陣は、それを見て見ぬフリをして、ただ彼を酷使しているだけじゃないか?セーブがつかない場面でも多投させてはいないか。
そして、ファンも、ただジャンプして喜んでるだけじゃないのか。何も考えずに。
ところで、大魔神はどうだったかというと、
95年 47試合(32セーブ)
96年 39試合(25)
97年 49試合(38)
98年 51試合(45) (この間すべてセーブ王)
と、意外にも節度ある使われ方をしてきたことがわかる。
日本一になった年でも、51試合登板なのだ。
ところで、現在の最下位近辺の横浜はどうか。ただただCSというわけのわからん「希望」だけに向けて、シーズン最終盤まで酷使させられ続けるのが、彼らの宿命である。
「最後まであきらめない」という美辞麗句のもとに、いちばんしんどい思いをさせられているのが、彼らではないのか。
誰も、彼らには手をさしのべないのか。
一刻も早く私がNPBにやってほしいのは、ベンチ枠の拡充だ。3人でもいい。これだけでも、かなり負担はやわらいでくるはずだ。
そして、1投手につき、シーズン50登板以上の禁止。
こうなると、「勝利の方程式」という概念も変わってくるかもしれない。むしろ、「1点差の方程式」「2点差の方程式」「3点差の方程式」など、いろいろな選択肢が増えてくるだろう。でも、それを「考える」ことこそが、監督の役目だろう。
選手は、「記号」ではない。ただ、式にあてはめればそれ相応の活躍を必ずしてくれるわけではない。
ニンゲンなのだ。
ケガもするし、しんどい時はしんどいし、審判にムカつくときだってあるだろう。
それを、忘れていやしないか。
きっと、ハマスタから「ヤスアキジャンプ」がやんだときに、みんなやっと事の深刻さに気づくのだろう。
でも、それでは遅すぎる。
中継ぎ投手に、一刻も早く労働環境が整うことを私は願ってやまない。
そして、加賀先生。今まで、本当に、お疲れさまでした。
私は一生、あなたのことを忘れはしないでしょう。