第1 設問1
1 ①AC間で、A邸の改修工事の請負契約(632条)が締結されている。また、②Cは、同改修を終えており、工事の工程を終えたといえ、仕事が完成している。そこで、Aは、③同改修がB邸のものと異なるという瑕疵があるとして、瑕疵修補請求権(634条1項)に基づき同工事のやり直しを請求できるか。
2 Cからの反論
(1) 同改修に用いたタイルは、B邸に用いられたシャトーであり、耐火性、防水性等の性能は同一であるから、③瑕疵はないとの反論が予想される。
「瑕疵」(同項)とは、当事者の契約内容に照らして、有すべき品質・性能を欠いていることをいう。
本件では、Aは、発注前にCと打ち合わせをした際に、CにB邸を実際に見せて、A邸の外壁をB邸と同じ仕様にしてほしい旨を伝えた。そうすると、Aは、単に耐火性、防水性等の性能を備えたタイルを求めたのではなく、外観も含めて同一のタイルを求めたといえる。そして、Cは、Aに対し、Aの希望に沿った改修工事が可能である旨を伝えた。よって、B邸の外観と同じに改修することまで契約内容となっていたといえる。そして、改修の結果は、B邸とは色が少し違って見えるものであり、B邸の外観と同じとはいえない。よって、上記品質・性能を欠いているといえ、「瑕疵」に当たる。したがって、同反論は認められない。
(2) 耐火性、防水性等の性能はB邸と同じであり、「瑕疵が重要でない」(同項)との反論が予想される。
しかし、上述したように、B邸の外観と同じに改修することまで契約内容となっていたのであるから、B邸の外観と同じといえないことは、「瑕疵が重要でない」とはいえない。よって、同反論も認められない。
3 したがって、Aの上記請求は認められる。
第2 設問2
Aの、Cに対する、瑕疵修補請求に代わる損害賠償請求権(634条2項)に基づく、外壁の改修工事の不備を理由とする損害賠償請求は認められるか。
上述した①②③の要件は充たす。しかし、Aは、A邸を2500万円でFに売却し、その代金の全額を受領した。また、③の瑕疵は、A邸の売却価格には全く影響していない。そうすると、③の瑕疵があったからといってAの財産が減少したわけではない。よって、④Aに損害が認められない。以上より、Aの上記請求は認められない。
なお、注文者が目的物を第三者に譲渡したこと自体により請負人の担保責任を問えなくなると言う考え方は妥当でない。なぜなら、同譲渡によっても、注文者という法的地位まで移転するわけではないからである。
(1040字)
※第2:損害は、債務不履行がなかったとしたら債権者が置かれたであろう利益状況と、加害行為がされたために債権者が置かれている利益状況の差を金額で表現したものをいう(差額説)。