過去問ひとり答練 ~H20公① | ついたてのブログ

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弁護士一年目です。ついたての陰から近況をつづります。

第1 設問1

1 法8条は、Aがインターネットで情報を伝達する自由を侵害するものとして、21条1項に違反する。

(1)ア 法8条により、受け手はAが提供する情報を閲覧できなくなる。よって、同条はAの上記自由を制約する。

イ 21条1項の趣旨は、自由な情報の流通が社会を豊かにし、それに触れる個人の利益にもなる点にある。そうすると、同項は、情報を伝達する行為を保障する。

本件では、Aの上記自由は、情報を伝達する行為であるから、同項により保障される。

ウ よって、法8条は、Aの上記自由(21条1項)を制約する。

(2)インターネットは誰でも情報を伝達できる。そうすると、Aの上記自由は、自由な情報の流通という21条1項の趣旨を実現する上で重要な意義を有する。もっとも、法8条の規制は、子どもに対する有害情報の発信を対象とするものである。子どもは自律的な判断能力が未熟であり、成人と同等の自由を保障される前提を欠く。そこで、同条の合憲性は、目的が重要であり、手段が合理性及び必要性を有する場合に限り合憲となるという基準により審査すべきである。

(3)ア 本件では、法8条の目的は、①有害情報から子どもを保護すること②有害情報にさらされることを希望しない大人を保護することである。有害情報に接すると、子どもは有害な影響を受ける。よって、①は、子どもの健全な成長のために重要である。また、インターネットなしの生活は考えられなくなっている現在、予想外の有害情報の表示にさらされずにインターネットを安心して利用する利益は重要である。よって、②も重要である。

イ しかし、何が有害な情報となるかは、その子の個性によって異なるので、保護者が最もよく判断できる。そうすると、有害情報の選択を政府が一律に行うのは①の目的達成に役立たない。また、大人は何が自分にとって有害情報であるか判断できるから、政府による一律規制は②の目的達成にも役立たない。よって、手段の合理性を欠く。

また、①②の目的達成には、インターネット接続機器の販売時に、フィルタリング・ソフトについての説明を義務付けるというより制限的でない手段が存在する。さらに、フィルタリング・ソフトは、有害情報だけでなく、サイト全体の閲覧を不可能にする。しかし、①②の目的達成には、有害情報の閲覧だけを不可能にすれば足りる。よって、手段の必要性も欠く。

したがって、法8条は、21条1項に違反する。

2 仮に法8条が合憲だとしても、本件サイトを有害ウェブサイトとして指定した処分は、Aの上記自由を侵害するものとして、21条1項に違反する。

「有害情報」とは、「子どもの健全な成長を阻害するおそれがある」情報をいう(法2条2号)

本件では、本件サイトに寄せられた意見のほとんどは、平和や死刑の問題を真剣に考えるようになったというものである。そうすると、本件サイトの提供する情報は、むしろ、子どもの精神的成長を促進するものである。また、本件サイトでは、画像が表示される前に、「不快感を与えるかもしれない画像が掲載されています。」という注意喚起の文章が掲げられていた。そうすると、子どもがそのような画像を見ないように配慮していたといえる。よって、本件サイトの提供する情報が子どもの健全な成長を阻害するおそれはなく、「有害情報」に当たらない。したがって、上記処分は21条1項に違反する。

第2 設問2

1(1)検察官は、法8条の定める手段は、政府が有害情報か否かを判断することに合理性を有し、また、より制限的でない手段は存在しないから必要性も有すると反論する。

(2)ウェブサイトはほとんど無限にあり、子ども自身や保護者が個々に有害情報を含むかどうかを判断することは現実的でない。そうすると、有害情報の選択を政府が一律に行うことは、有害情報から子どもを守るという目的達成に役立つ。また、大人は何が自分にとって有害情報であるか判断できるとしても、ウェブサイトを閲覧する毎に有害情報か否か判断しなければならないことは円滑なインターネットの利用に支障を来す。そうすると、政府による一律規制は、有害情報にさらされることを希望しない大人を保護するという目的達成にも役立つ。

また、法制定前にも国がフィルタリング・ソフトの普及を図ってきたにもかかわらず、同ソフトについて知らないという利用者が70%に上っている。これは、IT用語の理解が一般の利用者にとって難しいことが原因と考えられる。そうすると、利用者への説明を義務付けるという、Aが主張する手段では、目的達成できず、代替手段とはならない。また、ウェブサイトは複数のウェブページで内容的にひとつのまとまりをなすものをいい、一体性を有する。そうすると、一部でも有害ウェブページがある場合、そのウェブサイト全体が子どもに悪影響を及ぼすおそれが高いから、サイトすべての閲覧を制限すべきである。よって、手段の必要性もある。

2(1)検察官は、本件サイトの情報は、「有害情報」に当たると反論する。

(2)Aは本件サイトに有益な情報が含まれると主張するが、有益な情報を含んでいるか否かと、有害情報を含んでいるか否かとは、別個の問題である。そして、本件サイトの画像がショックを与えるものであったことは、閲覧者も認めている。また、Aは注意文を掲示していると主張する。しかし、クリック一つで簡単に本件サイトの画像にアクセスすることができる。そうすると、フィルタリング・ソフトによる遮断と比べると、子どもが本件サイトの画像を見ないようにするための配慮が不十分である。よって、本件サイトの提供する情報は、子どもの健全な成長を阻害するおそれが認められ、「有害情報」に当たる。

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