過去問ひとり答練 ~司試平成26年民事系第3問 ※2017/12/25改訂 | ついたてのブログ

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弁護士一年目です。ついたての陰から近況をつづります。

改訂しました(2017/12/25)。

第1 設問1

1 昭和45年判決が訴訟手続に表見法理の適用はないと判断した根拠は以下の点にある。すなわち、表見法理は取引の安全を図る制度である。訴訟行為は取引行為と異なり取引の安全を図る要請はない。

訴訟上の和解には訴訟行為であると同時に私法上の契約であるという側面がある。私法上の契約という側面においては、和解契約が互譲により争いをやめることを約する契約であるから、互譲という取引的性質が認められる。そうすると、取引の安全を図る要請は訴訟上の和解にも妥当する。

2 訴訟手続に表見法理の適用を否定する根拠として、手続の不安定を招く点がある。すなわち、訴訟手続きは積み重なっていくものであるところ、表見法理の適用を認めると、訴訟行為の有効性が相手方の善意・悪意という主観に左右されてしまい、手続の不安定を招いてしまう。

訴訟上の和解は、訴訟を終了させるものであるから、その後に手続が積み重なることはない。よって、表見法理の適用を認めても手続の不安定を招くことはない。

3 以上より、訴訟上の和解に表見法理の適用を肯定すべきである。

第2 設問2

昭和38年判決が和解権限(55条2項2号)の範囲に抵当権設定という訴訟物以外の事項について処分することが含まれると判断した根拠は、以下の点にある。すなわち、和解は互譲を要素とする契約である。そうすると、和解権限を与えたということは、互譲による紛争解決に必要な範囲で訴訟物以外の事項についても処分する権限を与えたと解するのが合理的である。

本件では、Xは、謝罪・誓約条項を設けることがAの要望する賠償金減額に応じる前提条件であると要望していた。そうすると、Aの謝罪・誓約は互譲による紛争解決に必要である。よって、謝罪・誓約条項を設けることは、和解権限の範囲内といえる。したがって、AはXとの間で本件和解の効力を争うことはできない。

第3 設問3

1 和解条項2項及び5項について生じる既判力により、本件後遺障害に基づく損害賠償請求権の主張が遮断されるのが原則である。

2 既判力の正当化根拠は、手続保障が与えられていたことに基づく自己責任にある。そうすると、訴訟上の和解成立時までに主張することを当事者に期待できない事由は、同根拠が妥当しないので遮断されない。

本件では、本件和解から半年以上も経過してはじめて本件後遺障害が発覚した。よって、本件和解時までに本件後遺障害に基づく損害賠償請求権を主張することをXに期待できない。したがって、Xが同請求権を主張することは上記既判力によって遮断されない。

3 117条1項が、口頭弁論終結後に「後遺障害の程度」に著しい変更が生じた場合に確定判決の変更を認めた趣旨は、人身損害の性質上、将来的に後遺障害の程度の変化により変動する可能性があり、それを全て予測して訴訟追行をする期待可能性がない点にある。そうすると、法は後遺障害について基準時後の主張を許容していると解され、訴訟上の和解の既判力についても同様に解すべきである。

(1232字)

 

※第1:私法上の効果が残ることの不都合についての誘導については、書けなくても一応の水準になる(採点実感)。

第3.2:誘導のもう一つの法律構成は、書かなくても一応の水準になる(採点実感)。