過去問ひとり答練 ~H25公② ※2019/11/11改訂 | ついたてのブログ

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第1 設問1

「処分」(行訴法3条2項)とは、①公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、②その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。

このように、処分性の有無を判断する考慮要素は①公権力性②国民に対する直接的法効果性である。

本件認可は、法391項に従ってC県知事が一方的に行うものだから、①公権力性を有する。そこで、以下、②について検討する。

1 本件組合は、土地区画整理事業を施行できる(法3条2項)。本件組合は、賦課金を賦課徴収できる(法40条1項)。本件組合は、換地処分ができる(法103条3項)。本件組合は、これらの行政権限を有する主体であり、行政主体である。

C県知事は、本件組合に対し、報告を求め、または、勧告をすることができる(法123条1項)。C県知事は、本件組合を監督できる(法125条1項)。本件組合は、C県知事のこれらの権限行使に服する立場にあり、下級行政機関と同視できる。

よって、本件認可は、行政機関相互の行為と同視できるので、②「国民に対する」法効果性を欠き、「処分」に当たらない。以上がC県側の立脚する考え方である。

2 市町村が土地区画整理事業を行う場合には、施行規程を条例で定めることとされている(法3条4項、52条1項、53条1項)。条例の制定行為は、通常、直接国民の権利義務に影響を及ぼさない。同影響は、後続の執行行為によってはじめて観念できることが多い。よって、条例の制定行為は、②「直接的」法効果性を欠き、「処分」に当たらない。

他方、土地区画整理組合が同事業を行う場合、定款を定めるが、定款の記載事項は、上記条例の記載事項と類似する(法3条2項、15条、53条2項)。そうすると、定款の変更行為は、条例の制定行為と同様に考えられる。そして、本件認可は、本件定款変更の効力を補充するものである。よって、本件認可は、②「直接的」法効果性を欠き、「処分」に当たらない。C県の職員の主張は、以上の法的根拠に基づく。

3(1) C県職員の主張の根拠は、上述したように、条例の制定行為が通常直接国民の権利義務に影響を及ぼさない点に由来する。そうすると、本件定款変更が、㋐限られた特定の者に対して、㋑他に行政庁の処分を待つことなく、本件認可により本件定款変更の効力が生じることにより、㋒直接、賦課金納付義務を課す場合には、本件認可は②「直接的法効果性を有する。

(2) 費用の分担に関する事項を定款に記載しなければならないとする法15条6号を受けて、本件定款変更において、賦課金の収入を本件事業の費用に充てること、並びに、賦課金の額及び徴収方法は総会の議決に基づき定めることが規定され、さらに、これを受けて、賦課金の額の設定方法が本件要綱に定められ、これに従い賦課金の賦課徴収が行われる。本件要綱は、300㎡を超える宅地を所有または賃借する組合員に対して、計算式により産出される賦課金を課す内容である。

このような賦課金の仕組みに着目すると、本件定款変更は、㋐300㎡を超える宅地を所有または賃借する組合員という限られた特定の者に対して、㋑他に行政庁の処分を待つことなく、本件認可により本件定款変更の効力が生じることにより、特段の事情がない限り、㋒直接、賦課金納付義務を課す。よって、本件認可は②「直接的」法効果性を有する。同時に、組合員という②「国民に対する」法効果性も有する。よって、本件認可は「処分」に当たる。

第2 設問2

1(1) 今回の資金計画の変更は、事業開始から数えて7回目に当たる。そうすると、事業費不足が頻繁に生じており、本件組合は、「経済的基礎」が十分でなく、法39条2項・21条1項4号に当たるとも思える。

(2)ア しかし、同号は、経済的基礎の確保手段を限定していない。そうすると、資金調達手段を問わず、経済的基礎が確保できていれば、同号に当たらないと解する。

イ 過去の資金計画の変更は、地価の下落により保留地の処分が進まないことによるものである。本件定款変更により賦課金が新設された。賦課金は、地価ではなく組合員の資力に着目するものであり、地価の下落に影響されない。賦課金の徴収権限が定められており(法40条1項、41条4項)、徴収の実効性もある。よって、本件組合の経済的基礎は確保できている。したがって、法39条2項・21条1項4号に当たらない。

2 法38条3項の趣旨は、組合員の意思を尊重する点にある。そうすると、白紙の書面議決書からは組合員の意思は分からないから、賛成の議決権行使として扱うことはできない。そうすると、賛成した出席組合員数は295名になり、出席組合員数907名の3分の2に充たないので、特別議決規定に違反する。よって、本件定款変更の決定手続が「法令に違反」(法39条2項・21条1項2号)する。

C県側は、白紙の書面議決書を送付した組合員は賛否の記載をDに委ねる意思であるのが通常であるから、上記取扱いは許され、特別議決は成立していると反論する。

しかし、白紙の書面議決書を送付する場合には議案に抗議する意思であるときもある。よって、賛否の記載をDに委ねる意思が通常であるとはいえない。

3(1)ア 300㎡以下の小規模宅地の所有者等が賦課金を免除されており、地積に比例しない賦課金の額の定めである。かかる定めが「地積」を考慮して「公平」(法40条2項)といえるためには、地積に比例しないことについて合理的理由が必要である。

イ Dは、同免除の理由が、小規模宅地の所有者等に対する政策的配慮にあるとする。

しかし、賦課金が免除される組合員が、総組合員の80%という大多数に当たる。これは、本件臨時総会の特別決議要件を充たすことを狙ったことの表れといえ、Dの上記説明は疑わしい。仮にDにかかる不当な動機がなかったとしても、そもそも、施行地区内に所有する宅地が小さいからといって賦課金負担能力が低いとは必ずしもいえない。そうすると、低額の賦課金まで小規模宅地所有者が免除される合理性は疑わしい。よって、同賦課金の定めには上記合理的理由は認められず、同定めは法40条2項に違反する。

(2) そうだとしても、賦課金の算定方法は本件定款ではなく本件要綱で定められているので、「定款」「の」「内容」(法39条2項・21条1項2号)が法令に違反しているわけではないとも思える。

しかし、本件定款変更と本件要綱とは同時に議決されており、本件定款変更の議決において本件要綱の内容が前提とされていたと解される。そうすると、本件要綱の内容が上述のように法40条2項に違反する以上、本件定款変更の内容も同条に違反する。よって、法39条2項・21条1項2号に当たる。

4 したがって、本件認可は違法である。

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