よく「やりがい搾取」って言葉を聞きます。
鍼灸師も、やりがい搾取されがちな仕事です。
開業当初は、結構やられました。
院の前を掃き掃除していたら、
通りがかった女の人から、
突然、「足の調子が悪いんだけど」と言われ、
治療なら中に入ってくださいと、促したんですが
（路上で鍼、刺してたら、問題ですし）
院には入らなくて、
診察・診断に納得がいったら、
治療を受けてやってもいい
早い話が、無料で足の検査をしろという話。
そういうびっくりするような
態度をとられたことがあります。
あ、もしかして、こういう人を
別におかしくないと思いますか？
この人が
間違ってることは、複数あって、
１，路上では検査できない。
２，検査はそもそも無料ではない。
３，初対面の相手にとる態度ではない。
４，人の検査力を試すって、あんた何様？
というか、あの人は人格障害だったかもしれませんね。
「周りの人と、コミュニケーション、うまく取れてます？」
と聞いてみたい。
私は人間ですし、感情があります。
感情がない「道具」扱いされるのは不快です。
今だったら、塩の一つもまきます。
あの当時の私は、うぶでした…ちくしょー。
（思い出し怒りが湧いてきました）
これは、鍼灸師に限らず、
ビジネスを始めたばかりの人も
あるあるだと思うんですが、
お金をもらうことに、抵抗があって
『お金へのマインドブロック』
なんて言ったりします。
でも、お金をもらうのは、
なんのためかというと、
サービスを継続するためです。
今一瞬、瞬間風速的に、無料サービスすることは
難しくない。
むしろ、楽だったりする。
でも、一瞬、たった一回、治療して、
一瞬、双方満足して、
それって、ずっとは続けられないですよ？
その楽しかった、有意義な瞬間、
ずっと続けたいと思いませんか？
ビジネスにするって、そういうことです。
（だから、好きなことを仕事にした方がいい
という考えもある）
無料サービスしないのは、
先々もずっと、楽しいその時間を続けるためです。
というか、まずは、目の前のその人に
全エネルギーを集中して注ぐために、
対価が必要なんです。
「この治療しても、お金貰えないかも」
「今月のテナント家賃どうしよう」
「●●の支払いどうしよう」
そんな雑念だらけの頭で、目の前の
仕事に集中できるかって話です。
ある要求に対して、敢然として
NO！
というには、
自分の中に、しっかりとした、もっと
燃えるようなYES
が必要です。
じゃないと、違うものに違う、
NOなものにNOと言えなくなる。
目的意識が弱いと、なんにでもYES、YES
言ってしまう、ということもできます。
お金をいただいて治療することは、
今、私の目の前にいる、
「あなた」の問題に
私が、安心して、
集中するために、必要なのです。
その仕事、「わたし」じゃなくていい
「あなたの問題」、「わたし」がやらなくても
他の人でもいい。
なら、よそに行って。
そういう話です。
「あなた」が、「わたし」に、
「ある一定の時間」「真剣に」
「全力を尽くして」ほしいと思うなら、
しっかり対価を払ってください。
私が、お金を手にした途端、
露骨に手を抜くタイプ、そんな
信用できない人間だ、と思ってるなら、
そもそもお門違い。
サービス業に対しては、
前払いの方が、効果的なくらいなんですよ。
少なくとも私は、期待に応えたいと
張り切るタイプです。
人を操ろうとしたり、利用しようとする態度は、
見透かされやすいです。
人として誠実であることが、
サービスの利用者にとっても、
サービスの提供者にとっても、
最善、最良のやりかたです。