私たち鍼灸師は、知識も、使える治療手段も、
お医者さんにまるで及びません。
そして、一番劣るのがどこかというと、
検査なんです。
MRI、エコー、レントゲン!
血液検査!
うらやましい!!
もし、画像が見られたら!
もっと、もっと、治せるのに!
見えない患者さんの体の中を、
手探りで、感覚と知識、経験が頼りの治療。
その緊張たるや。
私たち、鍼灸師が、一日に、たった数人しか
治療できないのは、集中して治療できる人数の
上限だからなんです。
逆に、もし、お医者さんに勝る部分があるとしたら、
それは、一人一人の患者さんに、
丁寧に寄り添うことができるという点です。
私自身が問診、検査、治療の全行程に責任を持ち、
人任せにしない。
お医者さんは、通常、一人で20人、30人といった
大勢の患者さんを診ます。
一人でできず、分業です。
一方、私が一日に診るのは、たった5人。
その一人一人に対し、治療の全行程をご一緒します。
たった5人しか診られないことを、
デメリットと考えることもできます。
けれど、たった5人だからこそ、
一人の人の全体像を見ることができる
そう考えることもできます。
鍼灸師の、お医者さんより勝るところは、
患者さん全体を見る力、関わる力です。
兼好法師は、「友達にすると良いタイプ」を、3人教えてくれています。
よき友三つあり。一つには、物くるる友。二つには、医者(くすし)。三つには、智慧ある友。(『徒然草』より)
良い友達に3つある。一つは、物をくれる友達。二つにはお医者。三つめは、賢い友達、と。
あなたが今後、良い鍼灸師を見つけられたら、
簡単に手放さないようにしてください。
鍼灸師ほど、親身に治療してくれる存在は、
なかなかいません。