『天使が歌う街』だよ。
またまた映画だよ。
今度はね、『天使が歌う街』という映画だ。
どうもハリウッドではクリスマスが近くなると、この種の心温まる映画が創りたくなる習性があるみたいだね。これは3年前に創られた映画だよ。
話しはね、ある男が自転車でたまたま通りかかって見た家をね、その売主の不思議なお爺さんの話しに載せられた形で買ってしまうんだ。
奥さんと10歳の息子はエエって驚くけど、家を観て大喜びなんだね。
で、住み始めるんだけど、間もなくクリスマスが近づくというのにさっぱり飾り付けをしようとしない。
この地域にはね、クリスマスには自分の家とその周囲を豪華で派手に飾り付ける習慣があってね、遠方からも見学に来るほど有名なんだって。
実は家を安く売ってくれた不思議なお爺さんは、その代りとして一つの条件を出すんだ。それはね、周囲の人と同じにすること、というんだね。
ならば飾り付けも周囲と同じにしなければいけないんだけど、男はしないんだよ。その男が過去のクリスマスの時に、ある事件があってからはクリスマスを祝うことを拒否するようになったんだって。
それから物語はいろいろと起伏をからめて進んでゆくんだけど、やがて、あの不思議なお爺さんがそれとなく諭す言葉に心が動いたことや、子供にクリスマスを楽しませてやりたいと思った男は、とうとうみんなと同じように飾り付けをする気になるんだ。
こうしてどの家よりも見事に飾り付けられた家に、みんなは集まってくるよ。
そんな街に、クリスマスの歌が流れて、エンドだよ。
あの不思議なお爺さんは、物語の進行中にも時々現れて不思議な行動をするんだけど、どうやらこの映画、あのディケンズ作の『クリスマスキャロル』という有名な物語を下敷きにして作られているようだね。
主人公の頑固な男がスクルージ、不思議なお爺さんがスクルージに過去と現在と未来を見せてやるマーレイの亡霊、と仮託すると面白いね。
最後のね、不思議なお爺さんが立ち去るシーンではね、その背中のジャンパーに天使の羽が生えていたのには、ジイタン、ニヤリだったね。
でね、この映画の中で、『家族をつないでいるのは想い出だ』というセリフがあるんだけど、ジイタン、この言葉を聞いた時ハッと思った。そうか、なるほどねってね。
ジイタン、なぜ親というものは自分の子や孫に対しては、いつまでも変わらぬ愛情を注ぎ続けられるんだろうって思って不思議だったことがあったからね。
よく、血のつながりは水よりも濃いからとか、家族だからなどと言われるけど、今一つピンとこなかったのが、『想い出』と聞いて、そうか、そうだったのかってね。
たしかに、自分の子として生まれてくれた時、目が見えるようになって自分を見てにっこり笑ってくれた時、ニコニコしながらハイハイして自分の所に来てくれた時、あやすとキャッキャッと声をあげて笑ってくれた時、居なくなると後を追って泣いた時、叱ると涙を流し慰めると泣きながらしがみついてきてくれた時、抱っこ抱っことねだって甘えてくれた時。
ニコニコお手伝いをしてくれた姿、行ってきますと元気に出て行きただいまと元気に帰ってきてくれた時、お買い物に一緒に行ったこと、遊園地で楽しそうに遊ぶ姿、転んで泣いた姿、病気になり熱を出して苦しそうだったこと、兄弟げんかをして叱ったときのしょんぼりした姿、家族旅行の時の嬉しそうな笑顔、新幹線に乗ってはしゃぐ姿、おみやげを買って帰った時の喜びの歓声、美味しいものを食べてニコニコする笑顔、きつく叱られてもうしませんと涙ぐむ姿。
どんなことも、どんなことでも、懐かしい、懐かし過ぎる想い出だものね。
一緒に居る時はもちろん、離れて住むようになってからも、ふと目の奥に浮かぶそんな姿を想い出したら、可愛かったなーとか、あの時なぜあんなにきつく叱ってしまったんだろうとか、こういう『想い出』が家族をつなぐ一つの大きな要素になるんだなってことに、なるほど納得、だね。
だから離れていても親子は親子だし、親子としての情も消えないんだよ。
ジイタン、今そんなことを書きながらも、目頭がジーンだね。
最後に一つ付け加えるとね、子供たちの可愛いかった想い出も、叱ってしまって可哀想だった想い出も、想い出であって、もうあの頃が戻ってくることはあり得ない。
今はもう立派な大人になった子供たちがもう一度小さく可愛くなって戻ってきてくれるなんて、魔法の世界でもなければあり得ない。もしそんな魔法が出来るのならもう叱ったりなんかしないし、いっぱい可愛がってあげるのにと思っても、そんなことが起こるはずがない・・・・・と思っていたら、なんと、そんな魔法が現実になって、もう一度小さな子供たちになって戻ってきてくれた・・・・・それが、孫なんだ。
そんな孫に叱ったり怒ったりできる? 出来ないよね。それが、おじいちゃんやおばあちゃんが孫に甘く目の中に入れても痛くないほどに可愛がる、大きな理由の一つなんだよ。
じゃまたね




