ジイタンだよ
今日は『ミスター・ノーボディ』という映画の話だよ。
一言で言うとね、質の高いコメディタッチの西部劇、という所だね。
とにかく面白い。面白いけれどコメディものによくある下品なセリフや描写はなし。軽快なテンポでコミカルな会話が楽しい良質な大人向け西部劇に仕上がっているよ。
主人公は若いテレンス・ヒルと老練なヘンリー・フォンダの二人だよ。
このうち、ヘンリー・フォンダは凄腕ガンマンとして鳴らした人物という役なんだ。だけどもう年だから、ヨーロッパに渡って静かに余生を送ろうとしている、という設定だね。
もう一人のテレンス・ヒルはそんな老ガンマンにあこがれて彼を追い掛けてきた若者ガンマンという設定。
でね、この若者ガンマンが軽妙洒脱な演技をする。このヒルという俳優はシリアスなドラマでの演技もよくこなすらしいけど、こういう軽妙な演技もうまい。どちらかというとフォンダより彼の方が主人公かな。
観はじめた時は、あれ、なんでここにヘンリー・フォンダが出てくるの?ってジイタン思ったよ。だってヘンリー・フォンだといえばシリアスものにしか出演しないイメージが強いものね、『12人の怒れる男』とか『怒りの葡萄』とかね。
この映画でも彼はシリアスもののような真面目な役柄を演じているよ。ヒルとはまったく正反対というか、好対照な役柄での演技ぶりだ。
この二人にワイルドバンチという150人からなる強盗団とか、悪人やら善人やらがいろいろ絡んで話しを盛り上げているんだね。
このワイルドバンチという強盗団はね、映画ではいつも派手に大勢で馬を駆ってやってくるシーンだけなんだよ。150人の団体様でね。なかなか圧巻だけどそれだけ。老ガンマンにやっつけられるシーンでも派手に大勢で駆けてきて派手にやられる。
実はこういう名の強盗団は実際に存在したらしいんだけど、本物たちはそんな大勢じゃない。ほんの数人だよ。映画は名前だけ借りたんだね。
さて映画はね、いろんなやり取りがあった末に、二人にはやがて奇妙な友情が芽生えてね。若者ガンマンはこの老ガンマンを素直にヨーロッパに行かせてやろうと画策するんだ。
なにせ、西部にその名をとどろかせたこのガンマンの背後には、彼を倒して名をあげようとする荒くれ男たちがうようよ居るからね。尋常ではそうそう素直に海を渡って引退などできっこない。
そこで若者が打った手は・・・・・というわけだ。後は観てのお楽しみ、だね。
とにかく、愉快な映画だよ。
じゃまたね