ぼくは海軍機関兵![]()
9、とうとうオチョウチンとなる その7
さて、私も一生懸命努力したかいあって、学校在校中に進級試験に合格、卒業を一カ月後に控えた10月、晴れて一等兵に進級した。と言うと偉そうであるが、実はこの進級試験で落ちた者はいなかったのである。![]()
しかしこれで私もオチョウチンだ。先に優秀な兵隊さんとして女にもてると書いた、あのオチョウチンである(当時の一等兵の階級章が提灯に似ているからそう呼ばれたという説がある ⇒ 掲載者注)
郷里に知らせたら母がどんなに喜ぶかと、さすがに私もうれしくて、早速手紙を書いて送ったところ、「元気でなにより、夏やせしないか、病気はしなかったか」と、そんなことばかりの返事がきた。やはり母には、出世などより元気でいてくれることの方がうれしいのだろう。親とはありがたいものである。
同年10月、約6カ月の犬猫にも劣る普通科練習生教育も終わり、卒業式を迎えた。海兵団のときもそうだったが、終わってみればつらさ、苦しさがかえって懐かしい。今は笑顔で送ってくれる鬼教官とも、便所でともに勉学に励んだ同僚たちとも、また会おう! 元気でな!と、握手をして別れた。
今日でも学生の合宿や、企業の泊まり込み研修の後などには、同様の光景が良く見られるが、本当にいつかは会えるという平和な時代のそれと、当時のようにいつ死ぬかわらないという状況でのそれとでは、同じ別れでも感慨はまるで違う。「また会おう」という言葉には「生きていろよ」「貴様もな」という、万感の思いが込められているのだ。![]()
「とうとうオチョウチンとなる」おわり つぎは「オチンチン検査」です