ぼくは海軍機関兵![]()
9、とうとうオチョウチンとなる その4
大急ぎでつり床を格納し終えるとズボンをはき、帽子を頭に載せ、上位を着ながら靴箱に走る。みなが競争だ。大勢のもみ合う中を腰をかがめて靴を取る。体がぶつかり合って帽子が飛ぶ。探している暇などない。だれのでもかまわん、ひったくって練兵場に駆け足だ。息を切らして整列、号令、とまあ一日はこんなふうにして始まる。
食事のときも大変だ。何か失敗をやらかす奴はいないかと、教官が目を光らせている中を、てきぱきと済ませなければならない。艦にいるときは、上官、先輩のお茶つぎで食べた気もしなかったが、ここでは教官の目に射すくめられて食べた気がしない。
落ち度でも見つかると、とたんに教官の怒声が飛び、みなの前で食器を高くかかげたままの姿勢で立たされる。ちょうど夏の暑いときだ。汗はダラダラと流れ、体のあちこちがむずがゆくなってくる。
腕はしびれてくる。だが疲れてひじが曲がり、食器が頭に触れでもしようものなら、教官が樫棒を持ってすっ飛んで来る。何ともおっかない学校だ。
私は学校にいる間中、こんな学校はもうこりごりだ。二度と来るものかと思っていたものだが、のど元過ぎれば何とやらで、三年後にはまたのこのこやってくるはめになるのだから、どうにもしまらない。もっともそのときは普通科ではなく高等科なのであるが。![]()
つづく
