ジイタンだよ
『武家の棟梁とその息子のこと』の三回目だよ
やがて夜が明けてから、棟梁は家来に名馬を引き出させ、息子を呼んで「この馬はお前のものだ。よく馴らすように」とだけ言うと立派な鞍も付けて、息子にあげたんだって。
お話しはここまでだけど、それにしても息子は父親の後を迷わず追いかけ、父親と同じようにどろぼうを見つけ、いつの間にやら父親の傍らに近づいていて、合図で矢を射てどろぼうを倒す。![]()
父親も、息子と何の打ち合わせをしたわけでもないのに後から来ることを確信し、泥棒に追いついたときには息子が近くにいることも察していて、姿の見えないその息子に合図をして矢を射掛けさせる。![]()
親と子とはいえ、ここまで互いの心の動きが通じ合うとは、さすがに名うての武家の棟梁とその息子のことよと、後々の世まで世間の語り草となったということだ。そして息子はね、やがて父親以上の武人になり、武家の棟梁として日本全国にその名を轟かせたということだよ。![]()
おしまい じゃまたね