デリバティブ取引、日米欧で共同監視 | 株えもんのブログ

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日米欧の金融監督当局は複雑な取引を引き金にした金融危機を防ぐため、店頭デリバティブ取引を共同監視する検討しています。金融機関などに世界共通の識別番号を付与したうえで取引を報告させ、各当局が情報を分析・共有する仕組みで、米の打診に日欧が歩み寄った。



今年末までに制度を整備する。デリバティブ取引は08年の金融危機の発火点となっただけに、共同監視で金融危機の再発を未然に封じる考えだ。


 報告の対象とするのは、債務不履行のリスクを取引し08年の金融危機の火種にもなったクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のほか、株式や債券、為替などの価格変動リスクを抑えるためのスワップやオプションなどの店頭デリバティブだ。



 国際的な巨大金融機関の場合、関連会社を含めると取引先は数千社に上り、各国・地域が異なる基準で制度を整備すれば、リスクの一元的な把握・分析は難しくなる。米財務省は個別の金融機関に識別番号をつける「法人識別制度(LEI)」を日米欧でも導入するよう提案していた。


 日本の金融当局内には導入する際にシステム構築などのコストがかかるため、慎重論もあったが、金融取引のリスクをグローバルに把握する必要性からLEIを導入する方向で検討を始めた。



具体的には金融機関など取引主体ごとに世界共通の識別番号を付け、取引情報とともに各国・地域の専門の情報蓄積機関が管理する。必要に応じて各金融当局が取引内容などを分析した情報を活用し、特定の金融グループにリスクが集中していないか監視する。


 金融システムのリスクチェック以外に、不正行為の監視や資金洗浄、国際税務調査などにも有効だとみている。金融機関以外に、デリバティブ取引を手がける事業会社やヘッジファンドなど対象範囲をどこまで広げるかは今後の検討課題とする。



 08年のリーマン・ショックでは、複雑化したデリバティブなどの取引の実態が見えにくいことが、取引当事者間の相互不信を招き、危機を増幅したと指摘された。


金融危機の再発防止を主目的に09年9月に開かれたG20の首脳会議は、12年末までにデリバティブ取引を集中決済する清算機関や取引情報の蓄積機関の設置を打ち出している。日本でも金融庁がこれに沿った制度整備を進めており、今回の法人識別番号導入と報告義務化で情報把握を強化する狙いがある。



金融危機が起きた背景には、米国当局の金融取引の規制緩和によって、際限ない利益競争が続いたことや、景気後退期に金融緩和を長期間続けたことによって、金利収入が減少、さらに緩和によってあふれたマネーが利ザヤを求め、デリバティブ取引に傾斜していったことがあります。


こういった問題点には蓋をして金融機関の動きだけを監視しても危機の再発防止にどれくらいの実効性があるか疑問もあります。



▼店頭デリバティブ取引とは 日経平均先物など上場されている派生商品は多くの市場参加者が自由に売買できる。それ以外の上場されていない株式や金利などの派生商品は、金融機関や企業が取引所を通さずに直接取引する。


種類が多く幅広い損失の回避に利用できる半面、売買の相手が破たんすると、取引が契約通りに進まなくなる。


2008年のリーマンショックでは、CDSの売り手が買い手に多額の支払い義務が発生、経営危機に陥ったため、買い手の信用力まで低下してしまい、金融システムが機能しなくなった。