姫様は、いくら言っても、彼との交際をやめる気配はありませんでした。

このまま、マリーヌ姫とラピスさんを結婚させるわけにはいかない。
 

ラピスさんが、他の女性と会っていればいいのに。

 

そうすれば姫様も考え直すかも
 

そんなことをどうしても考えてしまいます。
 
 
ただ、ばあやにとっての悩みの種は、それだけではないのです。
 
マリーヌ姫の父親は、自由奔放な人でした。
 
愛人が何人もいることは知られています。
 
そして子供もいます。
 
そのことは、マリーヌ姫知っています。
 
昔なら王族は一夫多妻が普通でした。
 
跡継ぎの男子を産んで家を維持したり、国の安泰をはかるために必要なことだったのです。
 
現在、この国は、王位継承者は男子になっていました。
 
ただし、現在は一夫一妻となっています。
 
国民がそうなっているから自然な流れでそうなったのでしょう。
 
この数十年で国民の考え方や王族の考え方が変わったのです。
 
 
 
 
我が国は確かに保守的な国ではあるけれど、
 
国民の考えによって国の形や王族の在り方は変わってきます。
 
そのことをマリーヌ姫の父親はわかっていませんでした。
 
今までずっと王室が続いてきたから、これからも安泰だと。
 
だから、遊び歩いて、自由奔放な言動や行動を繰り返していたのでした。
 
 
そんなことしている人の娘となると、
 
どうしても国民から毛嫌いをされてしまいます。
 
ましてや、マリーヌ姫の母親は、一般庶民でした。
 
財産や地位もない普通の一般庶民です。
 
そうなると何かあった時に後ろ盾になってはもらえません。
 
結婚相手というのは、自分と同じくらいの人を選ぶものです。
 
ただ、マリーヌ姫の場合は、確かに王族ではあるのだけど、
 
国民からは人気がなくて、
 
次期国王という路線からは外れている。
 
確かに継承者では上位になってはいるけれど、
 
国民は国王にはならないと思っています。
 
 
確かに王族と結婚すれば、普通の人よりはいい暮らしができるでしょう。
 
ただし、それと引き換えにみんなから注目をされるので、
 
どうしても窮屈になってしまいます。
 
そう考えると、ある程度裕福な家庭の人とは結婚しづらいのです。
 
恋愛して好きになってしまえば別ですが、
 
なかなかそこまでいかない。
 
 
結婚するとなるとどうしてもハードルが高くなってしまうのです。
 
まして、マリーヌ姫自身が、何かが優れているわけではない。
 
どちらかというと勉強はできないし、頭は悪い。
 
これは普段の行動をみればすぐにわかってしまいます。
 
 
ばあやは頭を悩ませていました。
 
マリーヌ姫はかなりの勝ち気な性格なのと、
 
プライドがめちゃくちゃ高いから、
 
相手を思い通りにしないと気がすまないのです。
 
 
今回もラピスさんと結婚するなら、
 
自分でラピスさんの仕事を決めてこれをやりなさい!
 
そんなことを考えているようでした。
 
 

姫様とラピスさんとの結婚なんてうまくいくはずない。

 

姫様の考え方をどうすればかえられるのか。

 
自分で人は思い通りにならないということがわからないと難しいのか。。。
 
 
そして現在の自分の立ち位置がわかっていない。
 
実はマリーヌ姫は、女性も王位継承ができるようになれば、
 
かなりの上位になるのだけど。。。
 
そうなれば、マリーヌ姫自身が今のまま王族として
 
このまま王宮にとどまることができるのだけど。
 
 
ただ、マリーヌ姫は自由になりたいということが第一の希望だから、それは望んでいないのよ!
 
 
マリーヌ姫にとっていったい何が幸せなんだろう。
 
 
ばあやは、あれこれ考えてみました。
 
 
 
マリーヌ姫が結局のところ求めているのは、
 
普通の家族ような気がするわ。
 
 
父親と母親は、仲が悪いし、
 
両親とも不仲。。。
 
愛情たっぷりに育てられていない
 
とてもさみしい子なのよ。
 
 
私というばあやがついていても
 
結局は他人だから。
 
やっぱり、愛情に飢えているように見えてしまう。
 
 
できれば、マリーヌ姫は温かい家庭を築いてほしいなぁー。
 
ただ、温かい家庭がどういう家庭なのかがきっとわかってないに違いないわ。
 
ラピスさんと結婚して温かい家庭を築いていけるかなぁ?
 
なんだか頼りないラピスさん。
 
本当に姫様を託すことができるのか。
 
二人がうまくいくかどうかなんて、
 
先の未来はまだわからないし。
 
 
それでも、ラピスさんが 社会人になって
 
ラピスさん自身が経験をして、
 
そしてマリーヌ姫ももっと公務をこなして、
 
もっと二人ともお互いに大人になってからの方がいいんじゃないのかしら。
 
二人とも自分で働いていないし、
 
まだまだ精神的にも未熟だから。
 
 
時間を置くことによって、
 
マリーヌ姫自身の考えが変わるかもしれないし。
 
これはやっぱり引き延ばし作戦が一番いいかもしれない。
 
 
ラピスさんが、就職して、それでもまだ結婚したいというなら、
 
そこで考えるしかないのかも。
 
 
就職することによって、ラピスさんの生活も変わるから。
 
二人の関係も変わっていくかもしれない。
 
 
ちょっと消極的かもしれないけれど、
 
様子を見るしかないのかも。
 
 
その間にマリーヌ姫には他の男性とも交流をしてもらう。
 
そうすれば、男性を見る目も養えるに違いない。
 
 
お見合いというより、男友達として会ってもらえば、
 
そこまで気負わなくていいのかもしれない。
 
 
そんなことをばあやは考えていました。
 
果たして、ばあやの次なる作戦はどうなるのでしょうか。