マリーヌ姫は、確かにラピスさん(彼)の将来について不安を感じていました。

 

でも、マリーヌ姫は王族なのです。

 

就職するにしてもマリーヌ姫が両親にお願いをすれば、

 

必ずいいところに就職はできるに決まっています。

 

 

そう考えれば、お金を稼ぐことができないなんてことはあり得ない話だと思っていました。

 

 

ただ、私はこの国の姫。

 

そう考えると、一般庶民のような仕事のわけにはいかないわ。

 

やっぱり、かっこよくて、人が憧れの的になるような仕事でないと。

 

私にだってプライドがあるのよ。

 

 

そんなことを考えていました。

 

一体どんな仕事なら、私に釣り合うのかしら。

 

 

やっぱり、実業家。

 

それとも大手企業のビジネスマン。

 

それとも士業がいい?

 

例えば、弁護士、公認会計士、税理士。

 

それとも大学教授?

 

まぁ、学生からだとすぐに実業家というのは難しいから、

 

やっぱり、手っ取り早いのは大手企業のビジネスマンが一番いいかなぁ。

 

 

それなら、両親のコネをつかって、すぐに就職できるに違いないわ。

 

 

そして、就職して落ち着いたことに、

 

私とラピスさんとの婚約発表!

 

これが一番いいかも。

 

ラピスさんは、自分のコネはないのかしら。

 

まぁ、あったとしても王族のコネには負けるわよね。

 

 

 

それから、ラピスさんはもてるから悪い虫がつかないように、

 

見張っていないと。

 

まさか、私のほかに女がいるなんてことないわよね。

 

 

婚約発表して、実は他に女がいました。

 

なんてことになったら、私のプライドも心もズタズタになってしまうわ。

 

 

やっぱり、ラピスさんの身辺調査は必要ね。

 

 

私と違って、ラピスさんは行動の制約がないから、

 

浮気だってし放題でしょうね。

 

 

婚約発表をして、国民から反対でもされようものなら、

 

それを押し切って結婚するしかなくなってしまうもの。

 

結婚をやめるなんて選択肢は絶対ないわ。

 

 

とりあえず、両親はラピスんさんのことを気に入ってくれたようだったわ。

 

 

これから、私とラピスさんとの壮大な人生設計を考えていかないと。

 

 

 

 

行き当たりばったりでは、私の思う結婚生活なんて送れやしないのよ。

 

今から考えておかないと。

 

 

ラピスさんは、私のいうことを聞いてくれるかしら。

 

でも、私と結婚するなら、私の言うとおりに動いてくれないと困るわ。

 

 

 

姫様、人を自分の思い通りに動かすなんて、難しいことですよ。

 

まして、仕事を自分のステータスに合わせて旦那様についてもらうなんて。

 

普通の人間なら、プライドを傷つけられます。

 

そういう発想はやめた方がいいです。

 

 

ばあや、そんなこと言うけれど、

 

私が結婚する人が、無職なんてまずはあり得ないでしょ。

 

そして、給料の安いサラリーマンなんていうのも私はこの国の姫なのにつり合いが取れないじゃない。

 

そうなったら、やっぱり、それなりの地位についてもらうしかないのよ。

 

 

確かにそうかもしれませんね。

 

ただ、ラピスさんの能力にあったところでないと、後でつらい思いをするのは、ラピスさんなんです。

 

それを姫様は頭に入れておかないと。

 

 

マリーヌ姫はこれまでの花嫁修業を重ねて、金銭的な不安がでてきたのでした。

 

お金の問題。

 

王室を離れることによって、貧乏になる。

 

それはマリーヌ姫にとって許されないことでした。

 

絶対に今の暮らしをキープしなくっちゃ。

 

私の威厳がなくなって、そしてプライドまで傷つけられてしまう。

 

 

そんなことなら、お嫁に行かない方がいいの?

 

 

お嫁に行かないで、かごの中の鳥の生活をこのまま続けるの?

 

 

私は、子供のころに誓った、

絶対にこの王宮からでて、自由に暮らすという夢をあきらめるの?

 

そんなの嫌よ。

 

 

私が自分らしく生きていくためにはこの王宮にいてはいけないの。

 

 

この小さな世界から出ていくのよ。

 

 

 

 

マリーヌ姫はラピスさんがまだ学生なので、

持っている力量というのがわかりませんでした。

 

大手企業に就職さえすれば、なんとかなる。

 

そういう考えだったのです。

 

 

ラピスさんは、確かにマリーヌ姫と同じ大学でした。

 

ただ、大学の受験で入ったのではなく、推薦だったので、受験はしていないのです。

 

大学の授業についていくのがやっとだったのです。

 

 

はたしてこのマリーヌ姫の計画はうまくいくのでしょうか。