ばあや、これまで4人の話を聞いて勉強になったわ。

 

もう、いいんじゃない?

 

 

いえいえ、

 

姫様、まだまだこれからです。

 

なんといっても姫様は、狭い世界のお暮らしになっています。

 

それでは、世間がどういうものかわかっていないと

 

だまされてしまって、後で失敗したということになってしまうかもしれません。

 

そうならないためにも、結婚の生の声をよく聞かなくてはいけません。

 

 

わかったわ。

 

ばあや、もう少し人に会って話を聞いてみるわ。

 

 

それでは、次の人を準備しますね。

 

 

ばあやは、姫様にとってどういう人がいいか考えます。

 

 

姫様は、ラピスさん(マリーヌ姫の彼)と結婚しようとしているけれど、

 

やっぱり、うまくいかないんじゃないかと感じるのは、

 

あまりにも今まで育ってきた環境が違いすぎることよね。

 

それでは、夫婦がかけ離れて違うカップルについて学ぶのもいいんじゃないかしら。

 

 

 

マリーヌ姫の花嫁修業の日になりました。

 

 

こんにちは。

 

今日はお話を聞かせていただけるということでありがとうございます。

 

こちらこそ、僕の話が役に立ってもらえれば幸いです。

 

 

姫様、こちらは、今回話をしていただけるマイケルさんです。

 

 

マリーヌ姫、よろしくお願いします。

 

 

こちらこそよろしくお願いします。

 

 

マイケルさんは、どういった仕事をされていらっしゃるのですか?

 

 

僕は、営業の仕事をしています。

 

大学を卒業して、今の会社に入りました。

 

会社は中小企業だからそんなに給料は高くないんです。

 

 

ご両親は、どちらにお住まいなんですか?

 

お仕事は?

 

マリーヌ姫は興味深そうにマイケルに聞きます。

 

 

両親は、この近くに住んでいて、共働きで会社員をしています。

 

 

そうですか・

 

一般的な家庭ですね。

 

 

奥様と離婚されたと聞きましたが、

 

いつ頃離婚されたのですか?

 

今度はばあやが離婚のことについて聞きました。

 

 

離婚したのは、去年の春です。

 

 

どういったことが原因だったのですか?

 

 

あまりにも育った環境が違っていて、

 

僕も彼女も価値観が違いすぎて疲れたということかなぁ。

 

 

価値観?

 

ばあやはもっと詳しく聞こうと身を乗り出します。

 

 

僕は一般的な家庭に育っているけれど、

 

彼女のエミリーは、社長令嬢だったんだ。

 

 

 

金銭感覚も生活の仕方も全く違って、

 

それが結婚するうちにだんだん嫌なところが目についてきて、

 

僕の中で大きくなってきたということかなぁ。

 


 

エミリーは、お金に何不自由なく暮らしてきたからね。

 

 

それに比べて、僕は大学の学費も親がようやっと工面してくれて、

 

なんとか進学することができたのです。

 

そして大学に入学してからも

 

僕はアルバイトを毎日のようにして生活費を稼いていました。

 

 

そんなマイケルさんとエミリーさんがよく出会えましたね。

 

今度はマリーヌ姫が聞きました。

 

 

エミリーとは大学が一緒なんです。

 

大学のキャンパスでたまたま知り合って、

 

それで、付き合うようになったのです。

 

 

最初は社長令嬢だとは思わなくて、

 

普通の家庭に育った人だと思っていました。

 

 

ただ、付き合ううちにエミリーの家がかなりの金持ちということがわかってきたのです。

 

 

僕なんかとつきあってもいいのかと思いました。

 

 

それでも、こんな僕でもいいと言われて、大学卒業してからもずっと付き合っていて、

 

それで、間もなく僕からプロポーズしました。

 

ということは、逆玉結婚ということになるのですね。

 

まぁー!

 

マイケルさん、よかったですね。

 

マリーヌ姫が感嘆の声をあげます。

 

 

世間一般的にはそうなるかなぁ。

 

確かに彼女の家族は裕福で、僕は援助を受けられてよかったなぁと思いました。

 

そういう背景があったので、結婚式は、かなり豪華にしたんです。

 

8割が彼女の招待客で、僕の方は親族と友達だけでした。

 

 

そして、その後にヨーロッパへの新婚旅行。

 

どうしても距離的に遠いので10日間の旅行ということになったんです。

 

 

 

そして旅行の費用は高額になってしまったので、エミリー持ってくれました。

 

それは、かなりエミリーさんが、結婚式と、旅行代は負担されたのですね。

 

そしてその後、彼女の持っている家に僕が入るという形で、

 

結婚生活が始まったのです。

 

 

それはかなり恵まれていますね。

 

エミリーは、義父の会社で働いていて、

 

役職付き。

 

給与ももちろん僕よりもらっていたよ。

 

エミリーの父親の会社に入ればという話があったのだけれど、

 

そこに入れば、義父や彼女それから、その兄弟と働かなくてはいけないから、

 

家でも会社でも彼女と一緒で、

 

彼女の家族に気を使わなくてはいけないから。

 

きっとその会社に入ると窮屈な気がしてね。

 

 

今働いている会社には慣れているし、

 

給料は高くはないけれど、生活には困らないから転職はしなかったんだ。

 

 

そして結婚生活が始まって、

 

お金の使い方があまりにも彼女と僕とでは違っていたんだ。

 

 

僕はそんなにブランドのものとか全く興味がなくて、

 

服装は相手に不快がない程度でいいと思っていたんだ。

 

 

だけど、彼女はブランドのものをバンバン買って、

 

僕にもそういういいものを買った方がいいと言われて。

 

シャネルだグッチだとお店を回って、

 

これを買った方がいいわよ。

 

と言ってきたんだ。

 

 

そうは言っても僕は、そんな高いものをばかばかしくて買う必要ないと思って

 

買わなかったけれどね。

 

 

ここでも二人は全く合わないなぁー!

 

と感じてしまって。

 

 

 

まぁ、女性なら、ブランドのバッグや洋服が欲しくなっても仕方ないかもしれませんね。

 

まして、おしゃれな人なら、身に着けたくなるでしょう。

 

それでもあなたから、ブランドのものを身に着けるのはやめてとは言わなかったのでしょう?

 

 

あぁー!

 

彼女は自分のお金で買ってたから、

 

それをとやかくどうこう言うことまではしなかったんだ。

 

 

彼女は、何か僕に強要するようなことはなかったから。

 

 

 

そして、彼女は、毎日のように経営者の集まるパーティーや勉強会に行っていたんだ。

 

 

 

僕も誘われて行ったこともあったけれど、

 

僕は会社員だから、どうしても話が合わなくって。

 

1回行ったきり、つまらないから行かなかったよ。

 

 

そして、彼女は、経営者同士とのお付き合いや仕事で、帰りが毎晩遅くなってきたんだ。

 

 

僕は、会社はほとんど定時であがっていたから、

 

彼女の帰りを待つ側だった。

 

夜も一緒にご飯を食べたのなんて、数回だよ。

 

恋人同士のときの方が、よっぽど、話ができたし、二人で過ごすことができたよ。

 

 

正直言って、彼女の浮気を疑ったんだ。

 

こんなに遅いのって、ホントに仕事なのかと。。。

 

彼女には、仲のいい男友達がいて、よく飲みにも行っているようだったよ。

 

 

だけど、彼女が言うには、友達と飲みに行って何が悪いの?

 

別に浮気をしているわけじゃないのに。

 

と言われたら、何も言い返せなくて。

 

 

そして、男友達と飲みに行っているところは、

 

高級レストランやバーなんだ。

 

 

僕は、そういうところに行きたいとも思わないからね。

 

 

そうこうしているうちに、週末も一緒に過ごすことがどんどんなくなって。

 

僕という夫と一緒にいるより、

 

彼女は男友達と一緒に飲みにいっていることの方が

 

多くなってきたんだ。

 

 

それで、僕が我慢できなくなって、もう男友達と会うのはやめてほしいといったのだけど。

 

それは、仕事関係もあるし、今までの交友関係を断つなんてできないと言われてしまったんだ。

 

 

そうは言っても、子供が出来れば、どちらにしろ、飲みに行くことはできなくなるだろう?

 

と言っても彼女は聞いてくれないんだ。

 

 

そして、彼女の両親からは、そんな収入じゃ恥ずかしいから、

 

もっと収入を上げるようにしてくれ。

 

自分で起業をして、稼いてくれと言われて。

 

僕にはそういう能力がないのは自分ではよくわかっている。

 

今の仕事で僕は十分満足しているんだ。

 

それなのにリスクを冒してまで起業なんてしたくない。

 

そう言っても彼女も彼女の義両親も聞いてくれない。

 

 

結局、自分たちの仕事が一番いいと思っているんだ。

 

そしてお金をジャンジャン稼げるものがえらい!

 

どうしても話す口ぶりからはそうとしかとれないんだ。

 

 

僕も悩んで、僕がふがいないから、彼女とうまくいかないんだ。

 

能力がないからダメなんだ。

 

僕自身を変えなくてはいけない。

 

そんなことを何度思ったことか。

 

 

だけど、そんなにすぐになんて買われるものじゃない。

 

世間一般的にみれば、僕は人並みだよ。

 

収入だって、普通だと思うよ。

 

 

それでは、彼女も義両親も満足がいかない。

 

もっともっと。

 

と言われるとなぁー。。。

 

 

そして彼女の実家にお正月やイベントで行っても居心地が悪くて。

 

できれば行きたくない。

 

そう思ってしまう。

 

 

なんだかどんどん肩身が狭くて僕の居場所がないように感じたんだ。

 

 

そして、彼女は僕の実家になんて行かないしね。

 

僕としては、完璧に入り婿のようにしか感じなかった。

 

 

彼女が働いているなら、家事はどうされていたのですか?

 

ご主人が、協力をされていたのですか?

 

 

彼女は、ほとんど外食だったので、

 

僕も独身時代からと同じ外食をしたり、総菜を買って帰ったりしていたよ。

 

家庭料理なんて、食べたことないよ。

 

 

掃除のほうは、クリーニングのサービスを週2日頼んでいたよ。

 

洗濯だけは自分たちでやっていたけど。

 

 

ワイシャツや背広はクリーニング屋に出すから、

 

ほとんど家事なんてなかったんだ。

 

 

そうでしたか。

 

確かにお金を出せば、家事をやってくれるサービスはいくらでもありますからね。

 

 

それで、当初はこんな生活でもいいかなぁと思ったけれど、

 

やっぱり、同僚や友達の結婚生活を聞いて、

 

もっと違う人なら、こんな味気ない結婚生活じゃない。

 

夫婦そろって楽しめる生活が送れるんじゃないかと思い始めたんだ。

 

確かにお金の魅力はあるよ。

 

彼女自身もかなり稼いでいるし、実家は裕福だし。

 

 

だけど、それだけでは心がどうしても満たされないんだ。

 

最初は彼女のことが好きだったけれど、

 

心がどんどん離れていって、

 

子供ができる前にこの結婚生活を解消したいと思って、

 

勇気をだして、離婚を切り出したら、

 

彼女も同じように思っていたようで、

 

円満な協議離婚ということですんなり別れられたんだ。

 

 

僕としては、ある程度同じ価値観を持っているということが

 

こんなにも大事だったんだということに気づかされたよ。

 

 

彼女が僕に合わせられれば、離婚にはならなかったかもしれない。

 

だけど、僕はブライドが高くてどうしてもできなかったんだ。

 

そして、彼女は、我が強い人なので、

 

人に合わせるということがまずできないんだ。

 

 

何せ、蝶よ花よと大事に育てられているからね。

 

 

僕は今度は、全く違うタイプと結婚したいと思っているよ。

 

僕に合わせてくれるようなそんな人。。。

 

 

 

確かに合わせてもらえると楽だと思います。

 

ばあやはにっこりしながら、言います。

 

そこまで全く違う方とよく結婚されましたよね。

 

そこが私にとっては驚きです。

 

 

僕と彼女は好きという気持ちだけで勢いで結婚したんだ。

 

そうでなければ、結婚する前に彼女のことをあきらめているよ。

 

 

ものすごく勢いがあったのですね。

 

結婚に対して反対はなかったのですか?

 

彼女の親は反対してしていたようだよ。

 

できれば経営者と結婚させたかったみたいだった。

 

確かに同じ経営者同士なら、話が合いますからね。

 

親御さんにとってはその方が安心なんでしょう。

 

 

 

マイケルさんの話が終わって、

 

ばあやは、

 

もっとお互いに歩み寄ることができれば、

 

もしかしたら、離婚ということはなかったかもしれませんね。

 

結婚して、生活を変えることができなかったということかも。。。

 

 

二人にそれだけの覚悟がなかったのかもしれません。

 

子供ができていればまた状況も変わったかもしれませんね。

 

 

格差結婚というのは、

 

育った環境、お金の使い方、収入があまりにも違いすぎると、

 

自分とは考え方や習慣が違いすぎて、

二人の間にどうしても摩擦が起きてしまいます。

 

相手のことをどこまで理解しようとするかということが鍵となってきます。

 

 

理解をする前に、お互いの気持ちが離れていったということが、

 

離婚になってしまった原因だと思います。

 

 

ばあや、ホントに難しいわね。

 

私とラピスさん(マリーヌ姫の彼)はどう考えても格差結婚になってしまうわ。

 

私とラピスさんはうまくやっていけるかしら。

 

ラピスさんは私に合わせられるかしら。

 

そして、私はラピスさんのことを理解できるかしら。

 

 

なんだか不安になってきたわ。

 

 

確かにそうですね。

 

姫様は、周りが合わせてくれますので、

 

どうしても自己中心的になってしまいます。

 

自分がこうしたいと思えば、すべて周りがお膳立てしてくれるのです。

 

そういう環境に育った姫様とラピスさんとでは、あまりにも違いすぎるかもしれません。

 

それを結婚まで持っていくのも結婚生活を維持するのも、かなり大変だと思います。

 

 

マリーヌ姫の中で、自分の先の未来に対しての不安が増していくのでした。

 

 

ばあや、ありがとう!

 

今回の花嫁修業は、私のこれからの未来について真剣に考えることができるようになったと思うわ。