このお話はある国のお姫様のお話です。
フィクションです。
ばあやは、レイモンド刑事の調査結果を読んで、ショックを受けて、ずっと悩んでいました。
でも、とうとう姫様に会って話す決心をしたのです。
そして、ようやく、宮殿で、二人だけになるチャンスがきました。
「姫様、お話があります。」
「どうしたの?
ばあや、何かあったの?」
マリーヌ姫は、ビックリして、ばあやに問いかけます。
ばあやからあらたまって話をするということはほとんどありませんでした。
「ラピスさんのことでお話したいことがあるので時間をとっていただいてもよろしいですか?」
「ラピスさんのことね。
私も、ばあやの意見を聞こうと思ったのよ。
ちょうど、今なら空いているわ。
ばあや、ここへ座ってね。」
マリーヌ姫は、ばあやを招き入れます。
マリーヌ姫の部屋で、ゆっくり話をすることになりました。
マリーヌ姫の部屋は。女の子らしい家具が置かれて、ゆったりと過ごすことができるようになっていました。
「ラピスさんのことですが、
ばあやとしては印象としては、良くないです。
人生の目的がなくフラフラしているように感じて。
アナウンサーになると言って、勉強をされているのかしれませんが。
ばあやが見る限り、アナウンサーになれるとは到底思えません。」
「えぇー!
ラピスさんがアナウンサーになれるかどうかは私にはわからないけれど
でも、目標は持っているわ。
私には、フラフラしているようには感じないわ。
頼りになる人よ。」
「姫様は、ラピスさんに恋をして、相手のことを冷静に見れなくなっているのです。
テレビ局てお勤めとなるとかなりの倍率です。
そんな中を受かるとはばあやには思えません。
それよりも堅実な男性の方が姫様にはよろしいかと。」
「まだ、ラピスさんは、学生よ。
まだ、能力は未知数じゃない。
それなのに最初から、無理だと言って否定するのは良くないわ。」
「確かにそうかもしれません。
ただ、私は、姫様よりも長く生きて、
いろんな人間を見てきました。
あのラピスさんは、
私の中では、姫様のお相手としては、不適格なのです。
みんな、同じ人間だから、
反対しないでと言う人もいるでしょう。
ただ、私は姫様に幸せになってほしいから、
ラピスさんとは、もうここで、別れた方がいいと思います。」
「エェー!
なんで別れなくてはいけないの?
そんなことできるわけないじゃない。」
マリーヌ姫は、これだけの理由では、引き下がりそうもありません。
それで、ばあやはレイモンド刑事が調べてくれたことを話すことにしました。
「実を言いますと、私はラピスさんについて調べさせてもらったのです。
ラピスさんは過去に女性と金銭トラブルを起こしています。
お金持ちの女性と同棲した過去もあるのです。
そういう方が、姫様のお相手としてふさわしいとは到底思えません。」
「金銭トラブル?
そして同棲?
えぇー!
そんなことラピスさんは一言も私には言わなかったわ。」
「それは、自分に不利になることなんで交際相手に言うはずがありません。」
「金銭トラブルってどういうこと?」
「お金持ちのお嬢さんと付き合って相手の両親に無断で勝手に車を購入したのです。
それがもとで、別れさせられたのです。」
「学生なのに車を購入?
それも無断で?」
姫様にはあまりにも次元が違いすぎてピンとこなかったのかもしれません。
姫様の生活は、なんでもそろっています。
お金に不自由のない生活をしているので、
なぜそういうことをするのかもわからないのかもしれません。
「彼女のご両親に黙って車を買って、そしてそれを乗り回すなんて、
私から言わせるとホストのようにしか見えません。
ホストなら、貢いでもらって当たり前ということがあるかもしれません。
ただ、姫様も交際してラピスさんに貢ぐのですか?
貢ぐとしたら、それは国民の税金なんですよ。
それをよく考えないといけません。
そんなことをしたら、この王室が破綻してしまう。。。
それも姫様たった一人のために。
よく考えて相手のことを見て交際しないといけません。」
「それなら、貢がなければいいのでしょう?」
「貢がなければって、それは最初はそう思ったとしても、
相手はうまいこと言って、姫様に貢がせようとするのです。
そして、そのうちラピスさんから離れられなくなるのです。
今ならまだ間に合います。
こういう人を国民が許すはずありません。」
マリーヌ姫は突然のばあやの言葉でショックを受けて、
どうしたらいいのかわからなくなりました。
「ばあや、少し考えさせて」
「もう一つ、お話したいことがあります。
ラピスさんのお父様のことです。
お父様は、自殺でなくなったとか。
どうも多額の保険金が掛けられていたようです。
それで、ずっと、長い間、警察が捜査をしていました。
結局は、証拠が出なくて、自殺となったということです。」
「保険金!!
まさか
ということは、保険金殺人を疑われたということね。
そういう家庭なの?
ちょっと、怖いー!」
「そうです。
だから、ばあやは、姫様にどう話そうか悩んだのですが、
わかったことすべてを話すしかないと腹を決めました。
姫様、お願いだから交際をやめてください。」
「ばあや、その話を聞いて、すぐにやめるというわけにはいかないわ。
もう少し自分で考えさせてほしいわ。
少し、時間をちょうだい。」
マリーヌ姫は自分なりにラピスさんとの交際をどうするか考えてみることにしました。
このあと、マリーヌ姫はいったいどうするのか気になります。
さてさて、この姫様の運命は一体どうなっていくのか。