このお話はある国のお姫様のお話です。
フィクションです。
レイモンド刑事にマリーヌ姫のことを調べてもらったばあや。
レイモンド刑事は、しっかり調べてくれたかしら。
まぁ、優秀なレイモンド刑事のことだから、
大丈夫だと思うけれど。
どんな結果がでたかしら。
私の杞憂(きゆう)であればいいのだけど。
そんなことを考えながら、この間会った待ちあわせ場所に向かいます。
「レイモンド刑事、お久しぶりです。
色々と調べていただいてありがとうございました。」
「いゃー!
調べると言っても、
そんなに大変では、なかったよ。
これが調査結果だ。」
そう言ってレイモンド刑事は、封筒を差し出した。
この中にすべて入っている。
俺は王室のことに口は出したくはないけれど、
これだけは言いたい。
あのラピスという男は、これ以上マリーヌ姫に近づけないほうがいい。
このまま行ったとしたら、
王室が崩壊する危険性も秘めている。
「えぇー!」
ばあやは、目を見開きました。
でも、ばあやは、驚きながらも、
自分が心配していたことが現実のものとなっていたのです。
「やっぱり!」
ばあやは、封筒の中身を開けて見ました。
すると、これまでのラビスさんの恋愛遍歴、
それから父親が亡くなって
警察の捜査を受けたこと。
保険金が多額にかけられていたこと
が書いてありました。
ばあやの想像をこえる内容だったのです。
ばあやは、ワナワナと震えはじめました。
「こ れ は!」
言葉を絞り出すように言います。
姫様!
こんな男に夢中になるなんて。
これじやー!
ホストに引っかかって
お金をつぎ込む若い女と一緒じゃない!
姫様は、なんてバカなの。
さすがのばあやもこれからどうしたらいいのか頭が混乱してしまいました。
そうするとレイモンド刑事が、
「グリナさん(ばあや)、大丈夫ですか。」
レイモンド刑事は、この調査結果を見てばあやが驚くのも無理はないと、思うのです。
ばあやは、マリーヌ姫が子供の頃から宮殿にあがってお世話をしていたから。
そのマリーヌ姫がまさかこんな男と付き合っているとは思わなかっだろう。
俺は刑事だから、クズ野郎を相手にすることが多い。
犯罪を、犯すやつというのは、
本当に魔がさしたものもいるけれど、
そうではなく根っからの悪人も大勢いるのだ。
それが悪いなんて、これっぽっちも思っていない罪の意識がないのだ。
どちらかというとこのラビスという男は、女を引っ掛けてお金を作って、遊んで暮らしたいというタイプだろう。
それにしてグリナさんは大丈夫だろうか。
ばあやは、ようやく気を取り直して、
「レイモンド刑事、ありがとうございます。
こんなに詳しく調べてくださって。
今ならまだ間にあうかもしれません。
マリーヌ姫がのめり込まないうちになんかしないと。」
「そうだね。
ばあやから、マリーヌ姫を説得したほうがいいよ。
何もこんな男を相手にしなくても、
他にも男はいっばいいるじゃないか。」
「そうですよね。
私も、そう思います。」
ばあやは、調査結果をバッグにしまった。
「これから、どうなるかわかりませんが、
私は、なんとしてもマリーヌ姫をお守りする覚悟でございます。」
「その意気だ!
グリナさん!
グリナさんのほの力強い言葉を聞いて安心したよ。
俺も、実をいうと、この国はどうなってしまうんだろうかと不安にかられてしまったんだ。
だけど身近にいるグリナさんが、そういう心意気でいれば安心だ。」
「レイモンド刑事、このことは内密に願います。
姫様の名誉にかかわることですので。」
「あぁー!
大丈夫だよ。」
そして、ばあやは、レイモンド刑事とお店を出て別れました。
ばあやは、家に戻って作戦を練ります。
ただ、シンブルに、
ラピスさんと別れて!
と言うのか。
調査結果を見せるのか。
どうすればいいのだろうか。
出たとこ勝負?
それもいいかもしれない。
ただ、あの頑固な姫様が受け入れてくれるかどうかだ。
姫様は、王室の力を持ってすれば何でもかなうと思っている。
しかし、そうではないということがわかっていない。
世の中にはお金を喉から手が出るほどほしいと、思っている人はゴマンといるのだ。
今まで恵まれて育っているから、
そこのところが全くわかっていないのだ。
私はもっと誠実な真面目な人とお付き合いをしてほしい。
やっぱり、私のラピスさんの印象を素直に言って、それでも納得しないのなら、
この調査結果を見せるしかない。
そうばあやは、覚悟を決めるのでした。
さてさて、この姫様の運命は一体どうなっていくのか。