このお話は、ある国のお姫様のお話です。
フィクションです。
私のばあやにラピスさん(彼)を紹介することにしたの。
ばあやがいつも私のことを心配してくれていて、
ラピスさんはどんな人?
そんなことをいろいろと聞いてくるの。
それなら、会わせた方が早いでしょ。
それで、ラピスさんとレストランで、
3人で食事をすることにしたわ。
ばあや!
こっち、こっち!
姫様!
姫様!
あぁー!
いたいた。
なんとかこのお店にたどり着きました。
ちょっと迷ってしまいました。
ばあやは、少し息を切らして言います、
アァー、
ラピスさんですね。
私は、マリーヌ姫を幼いころからお世話をしています。
ばあやと呼ばれていますが、
名前は『グリナ』と言います。
グリナと呼んでください。
グリナさん、いつもマリーヌ姫から、お噂を伺っています。
いつもマリーヌ姫のことを第一に考えていらっやるとか。
本当に可愛がっていらっしゃるのですね。
はい、その通りです。
姫様は、私にとって、
かけがいのないお方でございます。
姫様には、絶対に幸せになっていただきたいのです。
そのためもあって、ラピスさんがどういう方か知りたかったのです。
ばあやは、ラピスさんをまじまじと見つめます。
これだけ見つめれば、相手のことがわかるかもという気持ちがあったのかもしれません。
でも、心の中を見抜くことはなかなか難しいのです。
ラピスさんは、今はご家族何人でお暮しになられているのですか?
僕は、母と祖母の3人暮らしです。
父は小学生の頃に亡くなったのです。
そうでしたか。。。
お父様のことは覚えていらっしゃいますか?
もう、記憶が薄れて、あまり覚えてないのです。
役所に勤めていたのです。
そうでしたか。
姫君からお父様は自殺で亡くなったと聞きしたが、
何か理由があるのですか?
金銭的な悩みとか仕事の悩みとか家庭の悩み?
いったい何を悩んでいらっしゃったのでしょうね。
なんでしょうね。
僕には詳しいことはわかりません。
もしかしたら、お金のことかもしれません。
今、思うと僕が私立の小学校に通っていたので、
お金が必要になり悩んでいたのかもしれません。
そうでしたか。
お母さまはどういう方なのですか?
今は、お母さまはお働きになっていらっしゃるのですか?
はい、働いています。
それで、なんとか僕を育ててくれたのです。
母親が働いて子供を育てるって大変なことです。
父親と母親の役目をしないといけないのですから。
ラピスさんのお母さまは、苦労をなさっているのですね。
かなり、稼いでいらっしゃるのかしら。
いえ、そこまで収入はないです。
でも、姫様が行っている学校は学費がかなりかかりますが。
父の遺産もありますし、
遺族年金をもらっているようです。
それでなんとかやってきたのです。
僕もアルバイトをして、
家計を支えてきましたから。
学費くらいは、なんとか稼ぎたいと思っています。
そうでしたか。
頑張っていらっしゃるのですね。
ところで、正式に交際をされると聞きましたが、
姫様のいったいどこが気にいられたのですか?
マリーヌ姫の元気があっていつも前向きなところです。
そして、一緒にいると楽しいんです。
そうでしたか。
将来は、何になりたいのですか?
僕はアナウンサーを目指しているのです。
テレビに出て、皆の人気者になりたいと思っています。
えぇー!
人気者ですか?
タレントさんではなくてアナウンサーですか。
アナウンサーってかっこいいじゃないですか
今、アナウンサーになるために実は勉強をしているんです。
さすがのばあやも驚いてしまった。
姫様の彼がアナウンサー!
これは、マリーヌ姫のご両親は反対しそう。
ただし、まだアナウンサーになるとは決まっていないけれど。
アナウンサーは、人気の職業なだけあって、
テレビ局に入社するのはかなり難しい。
きっと無理でしょ。
そう、ばあやはそう思っていてもおくびにも出さなかった。
このラピスさんは、ばあやのお眼鏡にはかなわなかったらしい。
とりあえず、ここは当たり障りのないことを言っておくしかない。
後で、姫様とご両親には私の印象を伝えるしかない。
そんなことを頭の中でぐるぐる考えています。
色々と話を聞いていると、
ラピスさんは、ばあやにとっては
フワフワした自分のないような男性だった。
どうも頼りない。
優しそうではあるけれど。
でも、マリーヌ姫を任せられそうもない。
マリーヌ姫が男でラピスさんが女だったら、よかったのかもしれないけれど。
それでも、最初はよさそうに見えても結婚して続くかというと違う気がする。
そんなことを、ばあやは心の中で思っていた。
そんなことをあれこれ思ううちに3人での食事も終わりになってしまいました。
ラピスさん、今日は本当にありがとうございました。
お話できて楽しかったです。
こちらこそありがとうございました。
また、是非とも3人で食事をしましょう。
そして、食事会がお開きになった。
ばあやはどうだったかしら。
ラピスさんは、あれだけかっこいいから、絶対にばあやは気に入るに決まっている。
そして、両親にいい報告をして、そうしたら、大学卒業したら、すぐに結婚よ。
なんてなるかもしれない。
そんなことをマリーヌ姫は夢見ていた。
ばあやとマリーヌ姫との対立がなければいいのですが。。。
さてさて、この姫様の運命は一体どうなっていくのか。