Man「今度の週末は、日光金谷ホテルの百年ライスカレーを食べに行きます。」

Woman「なんで、カレー食べにそんな遠くまで行かないといけないの?信じられない、何考えているの?」

M「特別なプリンもあるんだよ。」

W「答えになってない。」

M「お土産に水羊羹と甚五郎煎餅もあるんだよ。」

W「さっきから食べ物ばかり。東照宮は?華厳の滝は?」

M「行く時間あるかなー?!」

W「信じられない 2」

M「でも、一緒に行きたいんだ、お願いします!」

W「もー、ソフトクリームもだよ❗」

その日は、夕方から急に雨が降りだした。

客はまばらだ。

外の看板を片付けようと外に出たら、ひさしの下に女性が立ちすくんでいた。

傘を持たずに急な夕立ちにあったのか、髪が濡れていた。あと涙…

「コーヒーお嫌いでなかったら、休んで行きませんか?!」自然に声をかけることができた。

女性は頷いて店内へ入った。

女性にフェイスタオルを手渡した。

そしてしばらくして、ミルクコーヒーをすすめた。「温まると思うよ。」

女性は小さな声で『ありがとうございます。いただきます。』とミルクコーヒーを飲んだ。

女性の表情が少し和らいできた。『おいしいです。温まりました。』女性が笑顔で言った。

この時期の急な雨で冷えきっていたんだろうな。

彼女に何があったかはわからない。

かけてあげる言葉も見つからない。

(そうだ!)

「あの-、今、オリジナルのブレンドを研究しているんです。好みを聞かせてもらっていいですか?コーヒーの。」

女性からコーヒーの好みをメモ帳にまとめた。

数種類のコーヒー豆を選んで混ぜてミルでひいた。サイフォンでコーヒーが出来上がった。

「どうぞ、あなたのオリジナルブレンドです。」「クリームと砂糖はお好みで!」

『美味しい、これが私の好みの味なんだ。』

「あのぉ、下のお名前だけ聞いていいかな?!」

『あっ、はい、ようこです。』

「ありがとう。ようこさんね。」とステッカーに(ようこNo.1)と書いて、豆の入った缶に貼りつけた。

「この店のコーヒーがお口に合いましたら、また、寄ってくださいね。」

女性は帰っていった。

次に女性が訪れることはあるのだろうか。




並べないご婦人

私の利用しているパン屋併設の喫茶室は、1番レジ、2番レジかあるが、双方に並ぶのでなく、順番に1、2というように振り分けられる。

並べないご婦人は、帽子を目深にかぶっているからなのか、真正面しか見ずに1番レジに突進していく。これもご婦人のみ参加のレジ争奪戦だ。

しかし、レジ係の優しい店員さんは、そんなことはお見通しで、「お客様、列の方へお並びください。」と優しい感じで、行列の最後尾へ誘導する。なんて素敵な場面だ。

ご婦人なりのルーティーンなのか、今日も1番レジへ突進していく❗