その夜は、なかなか眠れなかった。
二人のやり取り、翔さんから抱きしめられた事……
考える事が多すぎた。
そして朝になって、会社に行った。
そこには、二人の笑顔があった。
「美香先輩、おはようございます」
「おはよう」
ぎこちない言い方になってしまった。
早苗が言ったとおり、あまり話しかけられずにすんだ……けど、
お昼の時間になって
「美香先輩、仕事終わったら時間ありますか?」
「あるけど……?」
「じゃあ、帰るとき声かけてくださいね」
優希君が、私に用事ってなんだろう。
仕事中はそんな事考える暇もなく、帰れる時間になった。
「優希君、私帰るけど」
「じゃあ、僕ももうすぐ終わりますから、少しだけ待ってください」
会社の前の道で立ったまま待っていると、早苗が出てきた。
「美香、一人で大丈夫?」
「うん。たぶん……大丈夫だよ」
「無理しないで、怖くなったらちゃんと私の事呼ぶんだよ?」
「分かった。何かあったらね」
早苗は心配しながらも、帰って行った。
「美香先輩、お待たせしました。行きましょう」
「行くって何処へ?」
私の質問も無視して、彼はタクシーを呼んで、私を先に乗せた。
そしてそのまま、私は行った事もないようなバーへ連れて行かれた。
お酒を一口飲むと、優希君は突然話し出した。
「僕は、美香先輩の事が好きです。付き合ってくれませんか?」
「そんな……急に言われても」
戸惑っちゃうよ。