青山淳哉。
私は予想以上に、彼に依存していたのかもしれない。
どんな時も優しく、私の事を一番に考えてくれた。
男性恐怖症になっていた私を、暖かく包み込んでくれた。
私の中の冷たい氷を、少しずつ溶かしていって、春の風を吹かせてくれた。
でも、その淳哉のぬくもりを感じる事は、もうできない。
いつかは、また会えるときが来るかもしれない。
そのときは、ちゃんと自分の足で歩けるように、なっていたいと思う。
ひとつの決意を、ノートに書きとめた。
もう一度彼に会ったときに、困らせないために……忘れないために。
4月になって、新入社員がやってきた。
その中に、今川翔さんがいた。
そして、私達と同じ部署になった。
どうして、翔さんがこの部署に入ってきたのか分からなかった。
社長の息子なら、もっと早く昇進できる部署に行くはずなのに……
その日のうちに、新入社員歓迎会があった。
早苗と喋っていると、翔さんが私達の間に入ってきた。
「俺の事、覚えてる?」
覚えててって言われたし、いきなりあんなことするから、覚えてるけど。
「はい」
「そっかぁ、よかった。これからよろしくね」
そういった後、思いっきり微笑んで、そのまま他の席に移っていった。
「いきなり微笑まれてもね……」
私と早苗は、彼の行動にただ唖然とするばかりだった。
