愛璃奈って呼ばれたのは初めてだから。


いつも、【沢田】とか【沢田さん】とか苗字だったのに


いきなり【愛璃奈】って呼ばれたから


ちょっとビックリした。


「窓から2番目の後ろから2番目」


「うっそ~。席遠すぎ!!!杏莉は、


一番ドア側の前から2番目だよッ☆


休憩になったら来てネ☆」


「うん。わかった」


いつもだったら疲れるのに、


杏莉は違う。一緒に居てていつもの私でいられる。


なんでだろう?


ガラガラ――


「はーい皆、座れー」


うっとおしい先生が来た。


「出席取っていくから、名前呼ばれたら返事しろよー」


「麻田ぁー」


「はぁーい」


「おいおいおいおい。お前元気無さ過ぎ!!!」


「もう一回行くからな!麻田ッ!」


「はい」


「おっけー☆じゃ・・・ぁ。川崎」


「はいッッ」


「北山ぁ」


「はい」


それから20分に亘り出席が取られた。


こんな暑苦しい先生と、


1年間上手くやっていけるのか。


このとき少し不安を感じた。


嫌だからといって、


違う先生に変えてくれるわけでもない


そう思いながら、春の暖かい空気と


教師の暑さが交わる長い長い1時間が終わった。