先日知的障害の息子さんが飲んでいたエビリファイをお母さんの判断で半分にしたという人から、半分にした後しばらくは調子が良くて、能力も上がったので減らして良かったなと思っていたら、そのうち奇声が多くなってしまい、薬を元に戻したら落ち着いた、という話を聞きました。

その知人の息子さんのお兄ちゃんは、統合失調症でお薬をたくさん飲んでいたのですが、増やしても増やしても全く改善が見られないということにお母さんが気が付き、薬に疑問を持ち始めて減薬を開始していたので、下の弟さんの薬も減らしてみようと思ったそうです。

 

最近では薬では問題が解決しないということがだんだん周知されるようになり、薬を減らしてみようと思う人達や親御さんも増えているようですが、やはり情報不足でうまくいかないことも多いようです。

もちろん医師に相談したところで無駄なことが多いので、自分で調節していかなければならなかったりするのですが、精神薬は人それぞれ減らし方が大きく違うということもあり、止めたり減らしたりするのはとても難しいです。

 

正直やってみなければわからないという部分が多く、一概には言えないので困ってしまうのですが、大まかに言うとやはり精神薬は年単位で少しづつ減らしていくのがいいと思います。

特に知的障害の方や統合失調症状態になったことある人など、元々脳に弱い部分のある人というのは、とても慎重に進めていった方がいい気がします。

 

知人には、

「たとえ少量でも長く飲んでいる薬なので、減薬は年単位でゆっくり進めた方がいい。しばらくは今の量を続け、1年後に週に一日飲まない日を作ってみてください。次の年には週に2回飲まない日を作ってください。3年後に週に3回飲まない日を作り、それを1年続けることができたら、お医者さんに言って、処方されている薬の量(毎日飲んでいるとしての分量)を半分にしてみてもらってください。」

と伝えました。

「調子が悪くなるようでしたら、一旦元の量に戻して私に連絡ください。」

とも付け加えました。

 

「薬のことではほんとにお世話になりましたー。聞けて良かった!」

 

と言っていましたが、昔の私のように、大抵の人は、精神科医も含めて、精神薬のことをすごく気軽に考えているのだなと思います。

普通の薬のように、だめだったら減らしたり止めたりが簡単にできると思っている。

 

飲ませてみて、効かなかったら止めればいい、副作用が出るようだったら減らせばいい、そんな風に、簡単にはいかないのが精神薬です。

 

そしてこの知人の例を聞いて、同じようにやってみようと思った方がいたら、それはやらないでください、とお伝えしたいと思います。

 

まずこの方のケースでは、飲んでいた薬がエビリファイで半減期が長い薬だったので、一日おきを進めてみたのです。

同じ抗精神病薬でこれができる薬は、同じく半減期の長いブロナンセリン(ある一定の期間飲み続けた場合)、体質によっては半減期のないインベガも可能な場合があります。

他の抗精神病薬であれば、錠剤を半分にしたものと1錠を交互に飲む、など調整していった方がいいと思います。

(元々飲んでいる量にも左右されますが、ベンゾのように微量違っても大変なことになる、ということはあまりありません。)

これは抗精神病薬や気分安定薬などに適用できるやり方なので、短期型や中期型のベンゾなどには当てはめない方がいいと思います。

ベンゾの減断薬に関しては詳しいものがネット上に出回っていますので、そちらを参考にしてください。

また、半減期が長くない抗精神病薬にも当てはめないでください。

 

そしてどんなにゆっくり減らした場合でも、体質によっては一時的に良くなった後に悪化(飲んでいた時よりも悪くなる部分が出て来る)することもよくあるので、下手に止めたり減らしたりしない方がいいということもあるのです。

 

止めて良かった!という方も大勢いるので一概には言えないのですが、知的障害、学習障害や発達障害の人、統合失調症状態を経験した人が一度飲んだ抗精神病薬(メジャー)を止めると、かなりの確率で結局は悪化して再服薬、と言う道をたどることが多いように思います。

再服薬しないで済んだ人も、何かしらの脳機能低下が継続的に続いてしまうということも少なくありません。

(これは精神障害のみの人やHSPの人、抗精神病薬に限らずベンゾや抗うつ剤などにも言えるかもしれません。)

 

しかし特にお薬の管理が自分ではできないレベルの方で、保護者さんが考えてお薬の調節をしようと思った場合、まずは軽く考えないということが大切です。

さらに担当医から減薬や断薬、変薬の提案があった場合、おかしいな、と思ったら、

「それはちょっと待ってください。」

と言える知識を持つことも必用だと思います。

 

 

後から知人にエビリファイは何ミリグラム飲んでいるのか聞くと、分量はわからないとのことでした。

医者は「少ないから大したことない」と言ったというので、3mg~6mgぐらいでしょうか。

いやいや少なくても影響あるんだって!と突っ込みたいところですが、粉で出ていたようで半分にしやすいと思ったので、

「半分にする日を一週間に一回作り、それを半年間続け、大丈夫そうだったら次の半年は一週間に二回半分にし、半年ごとに半分の日を増やしていって、一週間全部半分になったら医者に報告して処方も半量にしてもらうというのはどうですか。」

と訂正させてもらいました。

 

エビリファイがいくら半減期が長くて一日おきを試してみる価値があると言っても、18ミリ以上とかたくさん飲んでいる人は、まず一日の量を少しづつ減らしてからにしてくださいね。

そしてちょっと無理そうだと思ったら、すぐに元に戻してください。

 

そこが仕切り直して量をへらして減薬を続けるか、ストップするかの分かれ道になるわけですが、どちらの選択がいい方に転ぶのかは、やってみないとほんとうにわかりません。

 

ただ、状態が悪化している時に進めるような無理はしない方がいいと思います。