太るので有名な薬オランザピン(ジプレキサ)。

オランザピンが糖尿病を発症させやすいのはもう10年以上も前からわかっていました。

医師の臨床経験に元づくと、服用者の20%から30%が糖尿病を発症すると言われています。

(高っ!)

 

昔はオランザピン誘発性の糖尿病は

 

副作用で食欲亢進 → 肥満 → インスリン抵抗性 → 典型的糖尿病

 

という経路で発症するものと思われていました。

 

しかし、本来は発症までに数年かかるインスリン抵抗性糖尿病が、オランザピンを服用すると半年以内に発症するケースがあります。

そこでオランザピンが直接膵臓β細胞(インスリンとアミリンの合成と分泌を行う細胞)に作用している可能性があるのかもしれない、ということになり、検証された結果、オランザピンはインスリンの前駆体であるプロインスリンの構造形成を妨げて分解へ導くことにより、膵臓β細胞からのインスリン分泌を阻害することがわかりました。

(研究は京都大学大学院理学研究科の森和俊教授らの研究チームにより、国際雑誌のeLifeオンラインに2020年11月に掲載されました。)

 

つまりオランザピン誘発性の糖尿病は

 

副作用で膵臓β細胞からのインスリン分泌を阻害 → 非典型的糖尿病

 

という、ダイレクトな経路で発症する場合もあることが証明されたのです。

 

副作用で太ったからインスリン抵抗性が起きて、糖尿病になるだけじゃなかったんですね。

痩せてても糖尿病になるということです。

 

 

ジプレキサ(オランザピン)は特に糖尿病を誘発させやすい薬ですが、クエアチアピン(セロクエル)、アセナピン(シクレスト)、クロザリル、リスペリドンなども糖尿病になるリスクは上がります。

 

うちの息子がクロザリルに切り替えることを提案された時にもらったパンフレットには「12、3パーセントが糖尿病になる」

と書かれていました。

確率けっこう高いですよね。

 

 

ある種の抗精神病薬が糖尿病の発症リスクを上げるというのは、医療関係者も含めてすでに周知の事実なのですが、先日気になる題名の記事を見ました。

 

 

「統合失調症に合併しやすい糖尿病、誰が診る?」

 

・・これさ、統合失調症に糖尿病が合併しやすいんじゃなくて、統合失調症の治療薬の抗精神病薬に、糖尿病を誘発するものが多いだけだよね・・

 

まるで統合失調症になると糖尿病になりやすいみたいな書き方。

日経メディカルさんの記事でしたが。

 

これもう半分ウソ書いてるようなものですよね。

だまそうだまそうとしているのが見え見えです。

この題名を見て、ほんとにそうなのかと信じちゃう人もいるかもしれません。

悪質ですよね。

 

 

 

糖尿病は統合失調症に合併する病気ではなく、統合失調症の治療薬である抗精神病薬の副作用として発症しやすい病気です。

 

糖尿病になりたくない場合はMARTA(多元受容体作用抗精神病薬)を長期投与しない方がいいです。

 

オランザピン(ジプレキサ)

クエアチアピン(セレネース)

アセナピン(シクレスト)

クロザピン(クロザリル)

 

また、フェノチアジン系の抗精神病薬にも気を付けてください。

 

 

 

 

これらの薬はドーパミンを強く抑え過ぎないため、見た目いい感じになったりするので割と使われやすい薬ですが、長期投与での健康被害は大きいです。