抗精神病薬はD2(ドーパミン)受容体だけではなく様々な受容体を遮断します。

それによって色々な副作用が出てくるわけですが、「5-HT2A受容体」(セロトニン受容体の一つ)を遮断することで認知機能が低下するという研究結果があります。

http://first.lifesciencedb.jp/archives/17000

 

 

 

 

抗精神病薬では非定型抗精神病薬の5-HT2A受容体遮断作用が強いです。

 

非定型抗精神病薬は統合失調症による認知機能障害に対しても効果が得られることがあると言われてきましたが、逆に認知機能低下を促進する副作用もあるということです。

 

 

グループホームを経営していると、統合失調症や妄想性障害などの統合失調症圏の方からの問い合わせも来ます。

皆さん長いこと抗精神病薬を服用しているわけですが、薬を飲んでいるうちに、診断名にプラスして「軽度知的障害」というのが付くんですね。

最初はもちろんそうではなくて、結婚したり仕事についていたりするのですが、十年二十年と経過するうちに、いつの間にか「知的障害者」となってしまうようなのです。

抗精神病薬は「飲み続けるうちにだんだんと認知が低下していく薬」という訳です。

そしてこれは第二世代の抗精神病薬、非定型抗精神病薬で顕著なようです。

 

 

現在50歳くらいでホームに来る人は、20歳前後から薬を飲み始めています。

最初は定型抗精神病薬を飲んでいて、途中で非定型に変わったわけですよね。

それでも知的障害になってしまうとすると、最初から非定型抗精神病薬を飲んでいる現在の患者さん達は、あと20年後30年後はどうなってしまうのでしょう。

 

非定型抗精神病薬よりも定型抗精神病薬を推奨しているわけではありません。

定型抗精神病薬にも定型なりの様々な副作用があり、社会生活を送っていくに当たっては、やはり非定型の方がいいという面もあると思います。

どっちもどっち、というのが正直なところです。

 

 

いずれにせよ、抗精神病薬とはこのように大変リスクの高い薬です。

統合失調症以外の疾患さんに、気軽に処方してよいものではありません。

 

発達障害や不眠などで、他にいくらでも対処方法があり、絶対に飲まなくてはいけいないというわけでもないケースに気軽に処方されるということに、そして患者側も気軽に服用するという現在の状況に、とても危機感を感じます。