人事と聞くとどういった仕事内容をイメージするでしょうか?
私は人事の仕事をする前は、真っ先に『採用』の仕事を思い浮かべていました。採用は人事の仕事の一つで、その他にも労務や制度設計などあまり聞き馴染みのないカテゴリーがあります。ここでは『人事の仕事内容』を紹介し、最後に『まずは採用をすべき理由』についてお話しします。就活中や転職活動中の方で、人事の仕事に興味がある方には必見の内容です。
【自己紹介】
筆者は人事歴10年の中堅人事マンです。
人材育成の仕事から始まり、採用、制度設計、労務のカテゴリーを経験してきました。人事の経験を活かしての転職経験もあります。陽のあたることが少ない人事の仕事が好きです。
〜目次〜
1.人事の仕事とは
2.人事の仕事の4分類
3.人事の仕事~業務内容とやりがい/メリット~
3-1.採用の仕事
3-2.人材育成の仕事
3-3.労務の仕事
3-4.制度設計の仕事
4.就活中や転職中の方に『採用』をおすすめする理由
4-1.採用のスキルは無駄にならない
4-2.個人としての活動が可能
まとめ
1.人事の仕事とは
人事はバックオフィスというジャンルの仕事に該当します。そのため顧客と接する機会はありません。自社の商品を営業し販売するフロントオフィスの仕事とは異なるため、会社の売上に直接貢献できる仕事ではありません。
人事の仕事のミッションは労働力の確保と質の向上です。このミッションを達成することで会社の利益に貢献します。
ワンポイント
人事の仕事に向かない人・向いている人
就活中や転職中の方で「とにかく成績を上げて売上No.1になりたい。」「顧客と直接関わって社会貢献をしたい。」と思っている方には人事の仕事は不向きです。
会社の裏方としてコツコツと仕事ができる人に向いています。
2.人事の仕事の4分類
人事の仕事は次の4つのカテゴリーに分類できます。
・採用 ・人材育成 ・労務 ・制度設計
ただし、人事の分類に定義はありません。そのため会社によっては労務関連が総務の仕事になっていたり、安全衛生が人事の仕事に含まれているケースなどがあります。
ワンポイント
就活中や転職中の方が注意すべき点
自分がやりたい人事の仕事がある場合は、その仕事がどの部署にあるかを必ず確認してください。
会社によっては、採用の業務を人事部から切り離して独立させているパターンがあります。
「採用の仕事がしたくて人事部へ応募したのに、採用の仕事ができない・・・。」という、悲しいケースは事前に避けましょう。
3.人事の仕事 ~業務内容とやりがい/メリットについて〜
3-1.採用の仕事
採用の仕事は労働力を確保することです。大きく分けて新卒採用と中途採用の2つに分類できます。
・それぞれの仕事の特徴
・やりがい/メリット
やりがいは『採用人数』という結果が目に見えてわかることです。
目標数をクリアすることができた時は、他の人事の仕事では味わえない達成感を得られます。
3-2.人材育成の仕事
人材育成の目的は従業員の能力の向上です。
・業務内容
主な業務内容は研修の企画と運営です。
企業には様々な研修が用意されています。
(例)新入社員研修、中堅社員研修、スキルアップ研修など
研修を開催するために、以下のステップで企画・運営を行います。
「新任の課長職向けの研修を実施する場合」
①目的の設定
・新任の課長職が抑えておくべきスキルや知識を明確化します。
②目的に合わせた研修プログラムの設計
・プログラムに合わせ、社内講師の選抜や研修業者の選定を行います。
③対象者への案内状の送付・会場の準備・印刷物発注など
・当日の開催を見据えた下準備を進めます。
④当日の運営
・受付や司会進行を担当します。
⑤フィードバック
・アンケート結果などから報告書をまとめ、次回に活かします。
・やりがい/メリット
幅広い年代のスキルや知識を学ぶことができます。
研修当日は基本的に受講者と一緒に講義を聞いています。
そのため幹部向けの研修では、経営者に求められる知識やスキルを学ぶことができます。
一方で若手向けの研修では、ビジネスマンの土台作りに関する研修テーマが多いため、
自身のベース力アップに繋がります。
3-3.労務の仕事
労務は従業員の労働に関わる仕事を行います。
・業務内容
労務の仕事は非常に幅広いため、例を挙げながらご紹介していきます。
例1:勤怠管理
ひと月の労働時間をモニタリングし、働きすぎていないかなどのチェックを行います。
例2:就業規則の管理
会社での働き方が定められているルールブックのことを就業規則と言います。
これの管理や改訂などを行います。
例3:給与計算・社会保険対応
毎月の給与の処理を行ったり、社会保険の加入手続きを担当しています。
例4:労働組合との折衝
会社に労働組合がある場合は、企業側の窓口業務を行います。
労働組合の「給料を上げろ!」という声の窓口になり、経営陣と労働者のパイプ役になる業務です。
・やりがい/メリット
労働問題のスペシャリストになれることです。
労務の仕事は従業員との距離が近いため、現場の人が抱える問題を察知しやすいです。
「もっと休みが欲しい。」「手当を上げてもらいたい。」「残業が多すぎる。」といった労働者の悩みを一緒に解決していくことで、労働に関する専門的な知識や解決の道筋を学べます。
3-4.制度設計の仕事
人事評価の方法、昇給条件のルール化、給与の設定などを行う仕事です。
・業務内容
例えば、部長職の給料はどのように決められているか考えてみましょう。
同じ部長でもA部署とB部署の部長では給料が違います。
年齢、勤続年数、業務内容、過去の実績、上司の評価など、あらゆる要素が絡み合います。
そういった時に公平な基準になるよう、事前に給与の決め方を設計しておくのが制度設計の仕事です。
人事評価、昇給、給与、これらの決め方がグレーなのは良くありません。
明確な基準がないと「あの人はAさんのお気に入りだから昇格した。」と言う噂がまかり通ってしまうかもしれません。
誰にでも公平になる制度を作っているのが制度設計の担当者です。
・やりがい/メリット
人事の仕事の4分類の中で最も市場価値が高いです。
転職サイトで制度設計の求人を見ると、給与水準が他の人事の仕事よりも高く、管理職としての採用が前提となっているケースが多いです。企画力、マネージメント力、実行力など、あらゆる人事スキルが求められる仕事ではありますが、制度設計の業務経験は人事領域で強い武器になります。
4.就活中や転職中の方に『採用』をおすすめする理由
理由は2つあります。
①スキルが無駄にならない
②個人として活動が可能
4-1.採用のスキルは無駄にならない
採用のスキルはどこの会社に行っても通じます。
また、最近はITやSNSを活用した採用活動が台頭しています。
従来の採用手法では人材の確保が難しいこともあり、より一層専門性が高まっています。
4-2.個人としての活動が可能
採用スキルを活かし、業務委託などでスカウト業を受託することが可能です。
どの企業も優秀な人材を常に求めているため、スカウトを通じたヘッドハンティングは需要が高いです。
ワンポイント
採用の仕事は体力勝負
採用活動は非常に多忙を極めます。全国に足を運ぶこともあれば、求人票の作成などのデスクワークも多いです。そのため、若いうちに経験しておくことをおすすめします。とくに新卒採用は、1つでも多くの説明会を開催することが応募者の確保に繋がります。採用の仕事で大きな成果を出すためには、体力も重要なポイントとなります。
まとめ
人事の仕事は『採用、人材育成、労務、制度設計』の4つに分類されます。
ひとくくりで人事といっても業務内容はそれぞれで異なります。
気になる仕事はあったでしょうか?
未経験の方にまずおすすめしたい人事の仕事は採用です。
採用の仕事は汎用性が高く、自分だけの専門スキルを高めていくことが可能です。
人事の仕事に興味がある方はぜひチャレンジしてみてください。