当たり前のことだけど、香りは嗅覚、五感のひとつである。

視覚、聴覚、味覚、触覚、そして嗅覚。
恋には五感が大切だと思う。
そして、自慢になるけれどだいたい私はこの五感を研ぎ澄まそうとしているので、
いつも極上の恋をしていると思う。


視覚。
自分では全くかっこいい人を探そうとしてないんだけど、
多分世の中の平均以上の人は選んでいるのじゃないかな。
あと、人が見過ごすところも見逃さないから、
好きな人の好きなところがふえてゆく。
誰より早く学校にきて勉強をしていた彼、高校三年。
何もいわず、ずけずけと人の仕事に踏み込んでくるのは、考えぬかれた優しさ。


聴覚。
人の話を聞くのは話すのが苦手だから。
音楽を身体の奥に染み渡らせることで、
嫌なことをすぐに忘れられるから。
情報に敏感なのも、人の気配や体調に敏感なのも、耳をすましているから。

味覚。
必要以上に甘いものを取らない。栄養バランスをきちんと知っている。
おいしいものは必要な時に、必要な分だけ。
本当に美味しいものを美味しいと思える身体には、ストレスが溜まりにくい。

触覚。
触れていたいと認めること。

嗅覚。
ああ、この人の匂いを好きになれないなあと思うと、
どんなに盛り上がっていても、ふっと冷めた気持ちになる。
一生その人の香りについていけるか?
と、本気で悩んだりする。

多分人より匂いに敏感な私は、
ワキガの人を好きになっても一生一緒にいられないだろう。

五感について一番わがままを言うなら、好きな人は好きな匂いであって欲しいよ。

だから、
私は自分の匂いを気にして、
朝絶対にシャワーを浴びてきたり、
ちゃんと歯を磨いたり、
香水をつけたりする人に好感を持つ。

(努力あるなしにかかわらず)
美しい香り(と、視覚を含んで言うのだろうか?言うに違いない)
を知る人は、人を夢中にさせる人であろう。


こんな話がある。
千年も前に書かれた『源氏物語』の主人公、
超プレイボーイ光源氏の息子は、「薫」という名の通り、
誰もをひきつける、まるで素晴らしいお香をたいているような体臭がしたのだという。
(光源氏は、いつも様々なお香の匂いをさせ、人を引きつけていたとは、対照的だ)
お香という文化がある日本で、いつから人は香りに焦がれるようになったのだろう。

「にほひ」という古典の言葉を調べてみると、非常に面白い。(下記、7以降が古典としての意味)


1 そのものから漂ってきて、嗅覚を刺激するもの。「香水の―」「サンマを焼く―」→臭(にお)い1

2 いかにもそれらしい感じ・趣。「都会の―」「生活の―」→臭(にお)い2

3 芸能や文芸で、表現の内にどことなくただよう情趣・気分・余情。

4 日本刀の刃と地肌との境に現れた、白くかすんだように見える部分。→沸(にえ)

5 染め色、襲(かさね)の色目や鎧(よろい)の威(おどし)の配色で、濃い色からしだいに薄くなっていくもの。ぼかし。

6 「匂い威(おどし)」の略。

7 視覚を通して見られる、鮮やかに美しい色合い。特に、赤色についていう。

・ 「もみち葉の―は繁し然れども妻梨の木を手折りかざさむ」〈万・二一八八〉

8 人の内部から立ち現れる、豊かで生き生きした美しさ。

・ 「―多く見えて、さるかたにいとをかしき人ざまなり」〈源・空蝉〉

9 はなやかで、見栄えのすること。威光。栄華。

・ 「官(つかさ)、位、世の中の―も、何ともおぼえずなむ」〈源・椎本〉

10 声が豊かで、つやのあること。

・ 「答へたる声も、いみじう―あり」〈とりかへばや・一〉

(yahoo辞書より)


五感をこよなくつかっていた「にほひ」という言葉に、
古い時代からの人と香りの関わりを強く感じる。


(蛇足だけど、でもワキガの人と結婚するなら治療してもらう。)


そしてかおりはおいしそうなものを選ぶ時だけでなく、
研ぎ澄ましていればおいしそうなお店さえ見つけられるという持論を持っている。
見えない嗅覚こそ、本当に大切なものなのだと私は思う。

第六感に一番近い感覚は嗅覚でないか?

だから私は今日も鼻を研ぎ澄ましているのだ。
人生の美味しい瞬間を見逃さないために。



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