母からは『フランダースの犬』を読み聞かせて

もらった記憶があります。

その他 幾編かの童話を 読んでもらいました。

時代が時代で それほど絵本も売られてなく、

幼稚園もなく、母からの話は貴重なものでした。

団塊の世代であるまめ助は、童話が懐かしい。

福娘童話集から、童話を引用させてもらいました。

 

よろしかったら、お子様、お孫様に

読み聞かせください。

 

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No.11 ニャンコの鳴き声 群馬県

 



ニャンコの鳴き声
 

 

むかしむかし、あるお寺に、

和尚さんが一人で住んでいました。

 

ある日、お葬式をすませてもどってくると、

雨水をためておいたタライにネズミが一匹落ちて、

おぼれそうになっていました。


「よしよし、いま助けてやるぞ」


和尚さんはネズミをすくいあげると、

ていねいにぬれた体をふいてやり、

逃がしてやりました。


 それから何日かして、

かわいい娘さんがお寺にきて、


「子どものお祝いをするから、

ごちそうを食べにきてください」


と、言ったのです。


 和尚さんが娘さんのあとについていくと、

なんと大勢の人たちがおもちをついています。


♪ニャンコの声は、まだ聞かぬ。
♪ドッテン、バッテン
♪ドッテン、バッテン


 みんな楽しそうにかけ声をかけるので、

和尚さんもおもしろくなり、


♪ニャンコが来たぞ
♪ニャー、ニャー、ニャー


と、ネコのまねをしました。


 すると、もちをついていた人たちは

いっせいにネズミの姿になって、


「チュー、チュー」


と、鳴きながら逃げていきました。


 和尚さんが、はっとして気がつくと、

お堂の下にすわっていました。


「ああ、せっかくのごちそうを食べそこなった」


 和尚さんは、ガッカリしたという事です。

 

 

おしまい

 

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