母からは『フランダースの犬』を読み聞かせて

もらった記憶があります。

その他 幾編かの童話を 読んでもらいました。

時代が時代で それほど絵本も売られてなく、

幼稚園もなく、母からの話は貴重なものでした。

団塊の世代であるまめ助は、童話が懐かしい。

福娘童話集から、童話を引用させてもらいました。

 

よろしかったら、お子様、お孫様に

読み聞かせください。

 

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No.2 ニワトリの恩返し 青森県

 



ニワトリの恩返し


むかし、ある村のお寺の和尚さんが、

北海道から帰ってくる時の事です。

 

連絡船の船室で眠っていた和尚さんは、

不思議な夢を見ました。

 

夢には一羽のニワトリが現れて、こう言うのです。

 

「わたしは、この船に乗っているニワトリです。

夜明け前には、飼い主に殺されて

食べられてしまいます。

どうかわたしを、助けてください。

わたしの命を、六十銭で買い取ってください。

和尚さま、どうかお願いいたします」

 

言い終わると、ニワトリは

ペコリと頭を下げて消えました。

 

目を覚ました和尚さんは、

 

「不思議な夢じゃ。しかしまあ、ただの夢だ」

 

と、思いましたが、

とりあえずお供の小僧さんに

一円札を持たせて言いました。


「ニワトリをつれている人がいたら、

その人からニワトリを買い取りなさい」

 

すると小僧さんは、

しばらくしてカゴに入ったニワトリと、

つり銭の四十銭を持って

和尚さんのところへ戻ってきました。

 

「金額まで同じとは、あの夢は正夢だったのか」

 

和尚さんはそのニワトリを

港の知り合いの人にあずけて、

村のお寺へ帰っていきました。

 

そのニワトリは、それから

八ヶ月ほどして死んでしまいました。

 

知らせを受けた和尚さんは、

ニワトリをあずけた知り合いの家まで出かけていって、

ニワトリの供養をしてやりました。


それからしばらくたったある日、

和尚さんの夢の中に、またあのニワトリが現れました。

 

「和尚さま。おかげさまでわたしは、

命をのばす事が出来ました。

寿命がつきるまで生きられたのですから、

まことにしあわせです。

お礼として和尚さまのお命を、

七十五才になる年の

七月二十五日までお守りいたします。

それまではどんな病気になっても、

決して死ぬような事はございませんのでご安心を」

 

 

やがて月日が過ぎ、和尚さんは

七十五歳の七月二十五日の日をむかえました。

 

「今日までは、あのニワトリがわしを見守ってくれていたわけか。

そう言えば、今までたいした病気にもならずにやってこられた。

ニワトリに、礼をいわんといかんな」

 

和尚さんは間もなく病気になり、

一月後の八月二十五日に

大往生(だいおうじょう)をとげたという事です。

 

 

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