幼稚園や保育園に通うくらいになると、誰からともなく聞かれるようになる
「大きくなったら何になりたい?」
子供向けアニメの主人公、動物や野菜の名前を口にして大人の失笑を誘う子供もいる中、お医者さん、花屋さん、先生など具体的な職業名をあげる子供もいる。
何にでも、なりたいものになれるのだ。あれこれ考えずに思いついたものを真っ直ぐ言葉にする。
周りの反応で思い知ってしまう子もいれば、気付かない子もいる。
無限の可能性があるとはいえ、残念ながら野菜にはなれないのだ。
小学生ともなれば、少し返答が変わってくる。プロスポーツ選手、芸能人、YouTuber、弁護士、OL、サラリーマン。
年齢を重ねるごとに現実的な答えが増えてくる。中学生のときは公務員と言った同級生もいた。
私にもそれなりに、なりたいものはあった。
可愛くなりたい、キラキラしたい辺りの漠然とした希望から始まって、周りの様子からどうも自分には縁がないと悟り
たまたま描いた悪戯がきがウケて漫画家になりたいと言い、お菓子づくりを覚えて調理師になりたいと拳を握り、アニメにハマって声優を志し、同人で小説を書きながら夢想して
五十を過ぎてニートになった。
やりたいこと、得意なこと、つい夢中になってしまうことを仕事にしたらと助言され
マッサージ、編み物、文章を書くことと考えて
指を傷めて今に至る。
子供の頃に強く願った将来の夢を一つ、ときどき思い出すことがある。
小学校の高学年。自分には学力も身体能力もその他の才能も美貌も望めないと感じながら、心のどこかで自分は他のみんなとは違う何かになれるんじゃないかという甘酸っぱい期待が渦巻いていた頃。
そのタイムリミットまで、あと1年になった。
あの頃の自分の目に、今の生活はどう映るだろう。
私の子供の頃の夢、五十二歳までに自然に逝くこと。