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夫の教えはいつも根気強い。


娘の子育ても、わたしのことも

今は母のことも


辛抱強く、ずっと待ち続ける。



オートロックのマンションの、

ピンポン対応や鍵の解除を覚えてない母に

ここ数日、母も対応し、開けられるように脳トレ。



わたしは、やらなくてもいいと諦めてたけど

夫は母が生きている間に色んなことが出来たらいい、と話し

覚えさせるのだ。



ああ、やっぱり夫は人を育てる才能がある、と感心する。


娘の赤ちゃん時代の遊びだって

子供時代の宿題だって


夫はじっと待ち、何回でも同じことを繰り返して学ばせた。


わたしができないこと、苦手なこと

例えば整理整頓だって


ハサミや爪切り、耳かきを出す度に

所定の場所へ戻すように教えてくれる。


父は、教える=命令だったのに対し

夫は、相手が覚えるまでとことん付き合うのだ。



わたしがハナっからあきらめていた

母のピンポン対応は


夫が毎回母にゼロから教え

私たちが外から帰る度にピンポンを鳴らして鍵を開けさせたり

宅急便が来たら母にやらせる。


間違えてもその度に説明し微調整し、

出来たら褒めてやる。



わたしは恋人時代から、そんな夫を見る度に

夫は子どもができたら

それはそれは丁寧に教え、可愛がるだろう、と

未来の幸せに浸っていた。


甥っ子や姪っ子と遊ぶ姿に

この人の遺伝子と子供をのこして、一緒に育てたいと思った。


そう思っていたのに、わたしは娘が産まれたら

自らワンオペ育児をし

誰も助けてくれないと不満ばかり溜めたのだ。



リビングに置かれたオーガスタは

新婚時代から私が枯らしまくり細々と根を張って生きてきたのに

今や夫からの丁寧な世話により、見た事がない艶やかな大きな葉を何枚もつけてる。



母と一緒に暮らしたい、とわたしからの急な申し出に

いいよ、と軽々と返事をしてくれた夫は、

わたしと似た、理解に時間がかかる母の

健康やきもちややりたいことに

いつでも関心を寄せ、

母の人生が最後まで人間らしい尊厳があるように考えて


今日もピンポン対応の特訓をしてる。



お母さんね、お父さんには命令されてたけど

パパからは愛情感じるんだ。


と、母は恐怖でしかなかった男性観を変えて第2の人生を生きてる。

男性に助けられ大切にされる人間として。


夫が日々与えてくれてるささやかな幸せは

義父母からも受け継いだもの。


そんなギフトを受け取り、目の前の血の繋がらない親子を見て

ただただ幸福に甘えている。



Meg.