作家、佐藤愛子さんが4月29日に亡くなった。
佐藤愛子さんの小説は読んだことはなかったが、エッセーは「九十歳。何がめでたい」はじめ数数のエッセーを読ませてもらい、楽しませていただいた。
ご冥福をお祈りいたします。
2026.5.16付毎日新聞東京本社版朝刊掲載紙面より
桃月庵白浪は鈴本演芸場で毎日曜日10時から開催されている3月の早朝寄席で初めて観て、聴いた噺家だ。
1991年生まれ、35歳、拓殖大学国際学部卒業、2014年に桃月庵白酒に入門。拓大出身の噺家には古今亭志ん彌がいるが二人とも落研出身ではないとのことだ。
入門して今年で12年目、噺家としては真打に手が届く年数になってきたが二ツ目になってまだ3年、もう少し時間が必要になるのかもしれない。
早朝寄席で聴いたのが「引越しの夢」、もともと上方落語の「口入屋」だったが、春風亭一之輔の「口入屋」を聴いているので、どうしても比較してしまう。一之輔と比べられてもなと白浪がぶつぶついうかもしれない。
墨亭、初めて行くところだ。東向島の東武スカイツリーライン、東武亀戸線の「曳舟駅」から歩いて13分ほどのところにある、古い民家の2階が会場になっていた。
今日の墨亭の空間、一番前に座ったので、噺家とサシで聴いているような感覚になってきた。
客は私を入れて五人。そのうちの一人は二十代と思われる若い女性、そして三十代後半くらいのこれも女性。このおふたり、たぶんこの会のお馴染みさんなのだろうなと思われる。というのは、噺が始まってマクラで声をあげてケラケラ笑っている、この光景、白浪に対しての愛情と感じたからだ。
開口一番は「辰巳の辻占」。廓噺、滑稽噺だ。辰巳は江戸の深川を指す岡場所で、男と女の駆け引きで互いに相手を騙そうとした噺。「娑婆であったじゃないか」とシャレたオチの噺だ。
二席目は「ねずみ」。彫物師、左甚五郎が登場する、仙台の旅籠の噺。客引きの子どもにつかまり粗末な宿に泊まることになった左甚五郎、夜具布団代や夜食の寿司代を左甚五郎が子どもに渡すやりとり、ここの表現、これはこの噺のキモでもある。この子どもを、聴き手がなんとも憎めない、ほんわかしたそんな子どもを描きければ、その噺家の技量が高く評価できると思うのだが、白浪の技量としては残念ながらえそれを感じなかった。
三席目「塩原多助〜発端〜」。八月に日本橋公会堂でこの噺を全編通しで演じるため、今日と来月、前編と後編にわけてこの高座にかけるとのことで咄だした。
塩原多助(塩原多助一代記)は三遊亭圓朝の長編人情噺だ。墨田区内に暮らした圓朝、この墨亭にもゆかりのある噺ともいえるが、今日の噺は発端とのことで、どんな白浪版「塩原多助」になるのかは、判断がつきかねる一席だった。