噺新聞(874shimbun)

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「落語」のこと、暮らしの中にある「噺」についてなどを集めた、噺新聞

写真は上中里梶原いろは亭のFacebookより借用させていただきました。

笑福亭べ瓶を訪ねて三千里、というのはちょっと大袈裟すぎるか。

でも、べ瓶という噺家を知って半年強、追っかける速度がここのところ速まってきた。

今日はべ瓶・三木助二人会ということで、北区上中里の梶原いろは亭へ出向いてきた。

 

今日の笑福亭べ瓶・桂三木助の会、年3回興行をやっているようで、今日の順番は桂三木助が二席、笑福亭べ瓶が一席の会ということだった。

開口一番は二人のトークから始まった。トークは二人の体重のはなしから健康を保つための運動のはなし、体重をコントロールするために皇居周回コース5km、二周10kmのランニングをべ瓶、三木助、三遊亭とむ、のちの錦笑亭満堂と三人で走り、途中ゲリラ豪雨にあいそのてんやわんやを、べ瓶がおもしろおかしくはなす、三木助曰く、べ瓶はその時その時起きた現象をすべて自身のネタに取り込む姿勢だと説明していたが、その事象の鑑賞眼は芸人としてのセンスそのものだと感じる。

 

桂三木助を今日聴くのは初めて。43歳で亡くなった四代目桂三木助は叔父にあたり、五代目桂三木助、40歳だ。

今日の演題は「まんじゅうこわい」と「死神」、「死神」のオチは噺家それぞれにいろいろなオチとする咄。三木助の工夫は自分の命の蝋燭が消えんとする時、死神から渡された代わりの蝋燭が、死神の蝋燭だったとし、これで死神はようやく死ぬことができ、医者になっていた主人公は死神になるという、入れ替わりをオチとしていた。

 

期待して聴いたべ瓶の一席、高座から、客席に向け開口一番はなし出したことは、6月に亡くなった桂ざこばの弟子で桂あおばが楽屋に来ている、私の高座のあと、あおばの一席を申し上げてもいいですか、と客席に断りを願った。

 

マクラでは東京と大阪の気質の違い、大阪では高いものを安く買う、このことが大阪のステータス、そして、繁昌亭の近くにあった靴屋、もうなくなったがこの靴屋の看板が、大きな文字で「もうあかん、やめます」とあり、長く営業していたと言い、桂枝雀が落語の稽古は馬の世話と一緒、毎日、毎日稽古しなければ、ということをいい、私らは百ネタを持っていたら、すぐ咄せるのは30、残り70は一日待ってもらい、さらってから、高座にかける、そんなもんです、と言っていた。

 

そんな前振りをして咄出したのが「壺算」。今日聴くので、初めてのネタだしの高座から続けて三度目になった。

ネタだしの時の構成を知っているので、それが2回目、今回の3回目と、比較できる面白さがあった。

壺買いに同行する、根岸リツ子、「ネギリ」のキャラクターの強烈なデフォルメ、買い物を依頼した男がリツ子に「アンタは黙っとき、アンタは遊戯の木や、木、わかったか、木」と言われ、この咄のツボ、売り手の子どもがややこしい状況の父親に子どもたちの飴の分け方を相談する笑いのポイントを、根岸リツ子が絡んでいた展開から、買い物では口出しできない〝木〟が飴の分け方をサジェスチョンする方法に変えてきた。

 

こうやって同じ咄を聴いてくると、咄の無駄な部分、笑いのポイントをよりスムーズに笑いに結び続けられるよう、削がれていき、笑いを呼び込むことが洗練されていく気がした。

 

飛び入り、桂あおばのネタは「紀州」。師匠桂ざこばはべ瓶の師匠笑福亭鶴瓶のことをものすごくライバル視していたなどと面白おかしくはなし、大師匠、人間国宝桂米朝が骨折した時の新聞の見出しが、「国宝にヒビが」と笑いを誘っていた。

 

次回は11月11日(月)夜公演とのこと。べ瓶が二席やる順番なので、このチケット、予約しましょうかね。

 

 

 

 

小麦粉の値段も高騰し、ラーメンの原材料アップは日々続いている。

ラーメン一杯、千円ということが当たり前になりつつある昨今。

そんな中、都内ではワンコインラーメンを提供してくれるところ、もう無いのではと、思っていた。

 

でも、探せば、まだある。

そう、単品500円だけで勝負しているところは、そりゃ、もうありません。

 

でも店舗の戦略として、メニューの中にワンコインを忍ばせ、来た客は、そのワンコインにトッピングしてワンコインを超える売り上げにしたり、このワンコインを釣る餌にし、他の商品、別なメニューに誘導したりと、

単品、ワンコインだけでは無理だが、それを含め店のメニューの間口を広げ広範囲に客を取り込もうというラーメン屋を散見するようになってきた。

 

今日訪れた人形町らーめん  いなせ(旧店名らーめんせい家)もそんな店かもしれない。

店は、中央区日本橋人形町2-2-3、日比谷線人形町駅A1出口、歩2分。定休日、無休。営業時間は11時からオープン。

メニューをみると、ワンコインが二つある。

らーめん5百円と、小腹らーめん5百円だ。

小腹ラーメンは、麺の量を半分にし、その代わり支那竹や玉子を加え、具だくさんにしたラーメンだ。

今日は初めてなので、らーめん5百円にしてみた。

海苔3枚に、チャーシューもついている。

家系のラーメンなのかと思いつつ汁をすすると、見た目よりあっさりした加減。

麺は中太、ストレート。麺に汁が絡みつくような味わいが少なく、ちょっと寂しさはあるが、

ツユの味はなかなか、美味い味加減である。

今日のワンコイン、まぁ、拍手する部類と思うが、どうであろうか。

 

 

腑に落ちぬ母の理屈、という17歳女性の相談。

 

お母さんに不満ですね。でも、お母さんは、なにかに挑戦しました。仮に失敗だったとしても素晴らしいと思いませんか。他にも挑戦したことがあるとも書いてありました。もしあなたがなにも挑戦したことがないなら、お母さんの方がずっと立派です。動きなさい。「腑に落ちない」と愚痴をこぼす前に。「勉強しなさい」といわれたのは、あなたが他に何もしていないから、せめてそれくらいはしなさいという意味ではありませんか?「やっています。いわれなくても、ずっと前から」と反論できるようになってください。

2024.8.17付け毎日新聞東京本社版朝刊掲載紙面より