島崎藤村の「破戒」という小説は、知っていたが、内容が、被差別部落だったので、読まなかった。
部落問題は、悲惨。
ありえない差別に苦しみ、全くもって、未来が見えない中で生きていくのだから、読むのは、辛すぎると思ったからだ。
しかし、ふと、映画を見てもいいかな・・・と思った。
瀬川 丑松(間宮祥太郎)・・・・・部落出身であることを隠し、小学校の教員とし
て働く。
銀之助(矢本悠馬)・・・・・・・・同僚で、丑松のよき理解者。
猪子 蓮太郎(眞島秀和)・・・・・部落出身の思想家。丑松は、彼に傾倒していく
が、暴漢に襲われ、あっけなく死亡。
志保(石井杏奈)・・・・・・・・・丑松と、互い惹かれあう。
丑松下宿先の住職(竹中直人)・・・養女である志保をねらっている、スケベ坊主。
(敬称略)
あらすじ
丑松は、部落出身であることを隠し、小学校の教員として働く。そのことを同僚で、よき理解者の銀之助にも、打ち明けられず。
ある日、部落出身、猪子の演説を聞いて、心揺さぶられた。 しかし、猪子は、暴漢に殺されてしまう。 丑松は、部落出身ではないか・・・と疑われている最中、猪子が殺されたことで、カミングアウトする意思を固めた。 告白後、学校をやめ、東京へ。
部落民は、普通に生きていくことさえ許されない。
国が作った階級なんだから、「階級制度は、間違っていました。今後、差別した人には、刑罰もあります。」ぐらいのことをやって、根絶するべきだったのでは?
根強い差別意識を、放置した国って、いったい、なんなの?
後始末ぐらい、キチンとやれや!!!
暴漢が、部落民を襲っても、大した問題にもならず・・・。
まるで、アメリカでの黒人を痛めつける、クー・クラックス・クランと、同じようだ。
同じ人間なのだから、差別のしようがない。
しかし、無知の人々は、何が何でも、自分たちは、正しいと豪語する。
古くて、新しい問題でもある。
さて、映画の丑松も良かったが、同僚、銀之助を演じた俳優、矢本悠馬が、とても良かった。
こうゆう強い意志の人がいることで、差別意識は、薄らいでいくという、救いを感じた。
そういえば、丑松が、恋い焦がれる下宿先の養女、志保は、義父である住職に、ねらわれている。
まったくもって、スケベ坊主。
原作者、島崎藤村自身も、性に、だらしない作家だった。
なんと、藤村41歳の時、兄の娘(姪21歳)を、妊娠させたのだ。
その後、責任も取らず、フランスへ逃げた。
2年後帰国し、そのことを、私小説「新生」で、告白している。
藤村の兄、出産した姪、子供のことは、考えなかったのか?
破廉恥な作家だが、それを、反省するどころか、カミングアウトするなんて、やりたい放題なバカヤロー。
その一方で、部落問題を世に投げかけた小説の役割は、大きい。
でも、もしかしたら、他者が、どう思おうが、気にしない人だったから、書けたのかもしれない。
そう思うと、姪を妊娠させ、私小説で暴露したことも、空気の読めない藤村ならでは・・・だったってことか?