何より自分自身に例外な事柄が多いので「男は」と決めつける言い回しは、ダイバーシティがこれほど注目される前から嫌いだが、それでも「カフェが好き」という男は少ないように思う。

私は、カフェで過ごす時間が好きだ。

 

「カフェ」とは、コーヒーを出す飲食店で、喫茶店と異なりアルコールも出せる業態を指すというのが定義で、あまりに広範囲過ぎるのだが、私がカフェが好きな理由は、

他の飲食業態に比べ、カフェに込められた店主の「哲学」に個性を感じるからだ。メニューやインテリアはもちろん、注文した料理を出すときの一言や、客を含めた店内の雰囲気、そして何よりも店名と店主のパーソナリティ。哲学は、そうした場面にしみ込んで伝わる。

仕事で飲食店の取材をすることはあるが、仕事でなくても、初めて入ったカフェが気になると、何となく話しかけて、そんな気になることを訊ねたりする。時間とお金があれば、日本全国のカフェの店主に哲学について取材した本を出版したいくらいだ。


その哲学を凝縮したのが店名だと思うが、店名にオリジナリティがあるカフェは、それだけで期待感が高まる。年齢と共に「大盛り」や「食べ放題」に魅力を感じなくなったが、そんな風にダイレクトに欲求に訴える姿勢が似合わない点もカフェが好きな理由の一つだ。それは、カフェならではのコンセプトにも通じるのではないかと思う。また、カフェと言うからには会話はインテリアの一つのようなものだが、たとえ客の声で溢れていても、落ち着ける雰囲気を醸し出す店であってほしい。

それほどだから、もちろん大型店は性に合わない。個人営業の飲食店が成り立ちにくい時代だと言うが、チェーン店で固められたテナントビルのカフェなど、私のなかではカフェの範疇に入らない。

 

やはり私は、カフェが発信する、オリジナリティを愛するのかもしれない。