ふんわりシフォン -377ページ目

必要なものを

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なにげなく手にとったのは装丁が可愛らしかったからで、失礼ながら作者を存じ上げていませんでした。


恋愛に不慣れで、物語のなかの淡い恋で満足していたのですが、ひさびさに身近な暖かみのある登場人物に出会いました。


短編集なのでさくさく読めますが、余韻を味わいたくてゆっくり読みました。


ひとつの短編から、次の短編へと主人公が変わるのですが、どこかに登場していて印象ぶかい人が引き継いでお話が進んでいきます。

描写がやわらかく、とても好みの文体なのです。食卓に出される料理も美味しそうです。


どうして本の中の食事は美味しそうなんだろう。


話がそれましたが、恋愛の本です。誰かを好きになってそのことにまつわるお話。


年の離れた夫婦や、先生を好きになった生徒、兄嫁を好きになった弟、夫婦のひそやかな秘密


わたしの心に寄り添うような言葉に胸があつくなりました。


いくつになっても人を好きになる


必要なものは与えられるというけれど、ほんとうにすんなり心に沁みて自分のことのように身近に感じられました。


みんな誰かを思っていて、お互いがお互いを思いあえることは、とても貴重な大切な経験です。


かけがえのない時間を、愛おしい人と過ごす


それはとてもとても
大切な なによりも
得難い幸せです



迷ったり悩んでも
大切なものがわかれば

そこにだどりつけるのだと思います

風と波音



気持ちはもろくて

壊れてしまいそうで



器だけでも

やさしく扱って



触れる指は

凍てついて硬くて



包みこんだ手のひらを

コートのポケットに導いた


風は歩いていく横から

わたし達を押して

波打際から遠ざけようとする



風と波しか

ここにはない



寂しさに憑かれて

寄り添いたくても



思いつめたあなたからは

反応がない



誰かが誰かのかわりに

なることはなくて



あなたのかわりはいない



あなたの悩みは

たくさんあって




すべて吐き出すことはできない

すべて聞くことは叶わない


思いに沈むあなたは

いつもと違って言葉を

飲み込んでいる



偶然

知りあって

気持ちを繋いできた



無関心に逃げられないように


言葉を投げ掛けてみても

タイミングがずれる

お互いがお互いに



自分の欲しい言葉が

目の前にあっても

素直に受け取れなくなっている



もどかしくて



わたしを見て

あなたを好きな人間が

ここにもいるよ



気持ちは揺れて

風にさらわれそう



あなたのことばかり

思っているのに

冷たくされると

平気なふりをしてしまう



愛もヤキモチも

この胸にあって

胸をこがす

まどろみ


なにかしていても

ふいに意識が薄れて

まどろんでいることがある

とろりとした時間


昼下がりのうたた寝


暑いということさえ


眠気をさそう


まぶたを閉じて


まどろみに捕われるまで


小さな幸せ