贈り物 | ふんわりシフォン

贈り物

藤、ジャーマンアイリス、山吹、満天躑躅、コデマリ、クレマチス…



花が咲き始める



どれだけの花が

春を競い咲くのだろう



「風花」

「柊兄、私名前はあんまり…」


笑みを崩すのは、従兄弟の柊也兄さん。整った顔をこんなふうに崩すのは、あまりない。

もっと言うなら、私と二人でいる時以外に崩す様を見たことがない。



「知ってる。それは叔母さんからの贈り物だろう。風花という名前は、お前のために選んで付けられたんだ。最初の贈り物として」



そう。最初で、最後の。

母は私を産んだ後に、死んでしまった。だから、私が殺したようなもの。駆け落ち同然で結婚した父は、母の命を奪った私を許すことはなく、私は祖母に育てられた。

……冷たい名前。私は名前を呼ばれるたびに罪の意識を拭えない。



「…俺はね、風花という名前が好きだよ。軽やかな名前だ」

私の名前は、冬の季語じゃない…

「晴れた空に舞う雪は、とても綺麗だよ」



よく晴れた風の強い日に私は生まれた。空には雪が舞っていた。落ちても積もることなく消えていくもの。
春の風が枝を揺らす。はらはらと花びらを散らす八重桜が、雪のように絨毯を広げている。

風が吹いたら、花が散る。



滞ることなく、時は流れる。