FULL MOON 夜を駆ける 36
家から離れることを考えてめちゃめちゃに走った。
この体は駆けると重さを感じない。力強い筋肉が、走るという命令を受けて大きく躍動する。
駆けるためにこの筋肉はあって、駆けられたことが、動くことが嬉しくてたまらないみたいだ。
小さな薮を跳び越える時や、川面に並ぶ跳び石を踏みながら川を渡る時には心が震えた。
駆けて駆けて
あたしは何処へ
来ただろう
休む気になったの は、見知らぬ場所に来たからで、村からは十分に離れたと確認できたからだった。
誰も獣の脚に追い付く者なんていやしない。
清流で喉を潤すために、岩に屈んで水を舐めとった。
ずうっとこのままなんだろうか。
水面がちらちらと光を揺らして流れていく。
今のあたしは水を飲むのに大地にこい願い、額ずいて喉を潤す。
食卓で煎れるお茶は、自然の恵みだと忘れてしまう生活の営みだった。
よく聞こえる耳に森のざわめきが届く。虫の羽ばたきや小さな動物のたてる音が聞き分けられる。
もし、もとに戻らなかったら。あたしは森で暮らすのだろう。
どうやって生きていくのかは、きっと本能の赴くまま体が知っているのだろうから。
父に会うのは、夜まで待つことにした。
この体は駆けると重さを感じない。力強い筋肉が、走るという命令を受けて大きく躍動する。
駆けるためにこの筋肉はあって、駆けられたことが、動くことが嬉しくてたまらないみたいだ。
小さな薮を跳び越える時や、川面に並ぶ跳び石を踏みながら川を渡る時には心が震えた。
駆けて駆けて
あたしは何処へ
来ただろう
休む気になったの は、見知らぬ場所に来たからで、村からは十分に離れたと確認できたからだった。
誰も獣の脚に追い付く者なんていやしない。
清流で喉を潤すために、岩に屈んで水を舐めとった。
ずうっとこのままなんだろうか。
水面がちらちらと光を揺らして流れていく。
今のあたしは水を飲むのに大地にこい願い、額ずいて喉を潤す。
食卓で煎れるお茶は、自然の恵みだと忘れてしまう生活の営みだった。
よく聞こえる耳に森のざわめきが届く。虫の羽ばたきや小さな動物のたてる音が聞き分けられる。
もし、もとに戻らなかったら。あたしは森で暮らすのだろう。
どうやって生きていくのかは、きっと本能の赴くまま体が知っているのだろうから。
父に会うのは、夜まで待つことにした。