FULL MOON 夜を駆ける 3 | ふんわりシフォン

FULL MOON 夜を駆ける 3

次々と差し出されるクルミを割りながら、ハンは笑顔で話に応じている。

「人がいいったら」

なんとなく輪に入りそびれた あたしは見るとはなしに森を見ていた。

どこかに山ぶどうがあったらいいのに。ぶどうは あたしの好物だったし、父も好きだった。実の小さいすっぱいぶどうでも、山歩きでの楽しみの一つだった。


その時、風もないのにガサガサと笹薮がうごめいた。
やだ、熊や虎だったらどうしよう……心配で体が固くなる。怖くて目をそらせないでいると、薮を割って出てきたのは、スンホンだった。それを見て、ほっと息がつける。

小さな体に不似合いな大きな上着を着て、掻き分けた笹で顔や指にいく筋もの切り傷を作っていた。

「ちょっと来なさい、スンホン」

こそこそハンの方に行こうとしているのを、呼び止める。悪いことをしている自覚があるのか、びくりと肩がはねる。