FULL MOON 今年最後の | ふんわりシフォン

FULL MOON 今年最後の

「雨だねぇ」

開いたカーテンから、外を見ている黒猫。

「今年最後の満月で、皆既月食だったのに」

「仕方ないよ、こればかりはね」

猫の体を抱きあげて、首筋に顔を埋める。やわらかな毛並みに包まれると、安心するけれど猫はむやみに体を触られるのを嫌がる。

今も手を突っ張って、頭を離そうとしてきた。

「いやだ、コノハナ」





「何処にも行かせないから……」

ふうっ…と長く息を吐いた猫は、

「未来を約束することは、できないけど、選ぶことはできるから…」

ぱたりぱたり しっぽが揺れる。



やがて蛍火があふれ

腕のなかの姿を変える。

しなやかな腕、曲線を描き豊かに膨らむ胸、締まったウエスト、張りのある尻から、すらりとした足が伸びる。

いつだって、これ以上綺麗だなんて思えないくらい、美しい。

腕のなかの宝物。



ずっと、そばにいるから。



「朔也といるから

ずっと

ずっと」