FULL MOON 35 | ふんわりシフォン

FULL MOON 35

移動には水のある場所がいい、そう言うので近くにある池へと行くことにする。

『はっきりした結果が出ないなら、あたしがこの地を浄化するわ』

『まだ解らないだろ』

『甘いわ。誰しも生活があり、非常事態は長く続かない。ここの人を思うなら、提案を受け入れたらいい』

力が無いと言外に言われている。

『…まだ結果が出ないだけだ』


彼なら…前の地のマスターならどうしただろう。見えない物に対して、どう戦うのだろう。

あまりにも、呆気ない。ほんの数時間で、俺の人生は変わってしまった。



池につくと、すっと水の上を歩いて門を作っていく。歩いた場所だけ、さざ波が立ち鏡のような水面と見分けることが出来る。

丸く縁取られた内側では、激しく水が波打ち嵐のように揺れる。ざあっと波が寄せ暗い水面を写しだす。

守護獣である、白い魚…リュウグウノツカイが姿を現し、悠々と水門の内側を回る。

見せられたビジョンは彼女のフィルターを通していたので、とても痛々しく感じられたけれど、やはりとても綺麗だった。真珠のような光沢を持つ鱗は、時折虹のように輝く。

龍がいるとしたら、この姿にとても近いだろう。



彼女が戻ってきて、言った。


『行くぞ』

うなづくと、しなやかな腕を伸ばしてきた。

『ゆっくり つかまれ。おちつかないと底が抜ける』

怖々と踏み出した足は、ガラスのような硬質な物に触れる。

まるで、水溜まりにある、氷みたいだった。いつか、ぱりんと割れてしまいそうで…


そして、彼女に引かれて、水門をくぐる。