FULL MOON 27 | ふんわりシフォン

FULL MOON 27

いつかこんな日も来るだろう。


まぶたを閉じたら浮かぶ

ほんの少し周波数を合わせてみるように…ノイズばかりの映画が頭のなかでこだまする。

耳を覆いたくなる

頭のなかで蜂が踊る。ぶんぶんと非難、苦痛、悲観、あらゆる感情が流れ込む。
目眩がして、とっさに木の幹に手をついた。

ぽわんとした感触。そんな訳ないのにそう思ったら、耳鳴りはフィルターをかけたようにざわめきながら遠くなる。




「コノハナ…」

うろうろと黒猫はこっちを見る。


「大丈夫だって明け星


………大丈夫」

「ふらついて説得力なんてナイくせに。あたしは支えてなんてあげないから……きちんと歩けるようになったら言って」

「…意地っ張りだな…心配してるって言いなよ。落ち着くまで待っててあげるって言いなよ」

「なんで!?」

「俺のこと好きでしょ」

「バカ朔也」

顔色はわからない。毛をふくらませた様子、瞳の色………ごまかしてしまいたかった。

情けない自分を。

涙が出そうになるくらいちっぽけな自分を。













この悲鳴が

この嘆きが

俺に届いたから







俺は俺に出来ることをする。考えて迷っても、動くことでしか現実は変わらない。

正しいか正しくないかなんて後から何か言われたってかまわない。

そんなことを言う奴は何もしない。言わせておけばいい。





「行こうか」

「…倒れないでよ、メーワクだから」

「俺が倒れたらさ、そばにいてよ。どっかに助けてもらいに行かなくていいから…いてくれるだけでいいから」

「見殺しにしろって?」

「そのときは、もう助けられないから。最後はそばにいてよ」

「……わかった」

「俺、死んだら、明け星も死ぬけどいい?」

「それはヤダ。長生きしていろんな世界を見て、いろんな美味しいものを食べるんだから」

「世界なら見せてやるよ、いくらでもね」

「貧乏コノハナじゃ食事は期待できない」

ははっと笑いが漏れる。

「腹が減ってたらなんでも旨いよ。魚くらい俺が捕まえるから」

黒猫の鼻にしわが寄る。

「いつも魚じゃイヤ」

「魚が一番好きだろう」






振り返ってゆらりと腕を振る。



葉ずれの音が、俺を包む。
言葉にしない思い。胸のうちにある思いは届いている。