* 海斗・逍遥 * | ふんわりシフォン

* 海斗・逍遥 *

桜の続く道を走っている。淡い桜の色はトンネルを作っていて、別の世界に迷いこんだみたいだ。

自分の呼吸。

桜の呼吸。

混ざり合い霞みのなかにいるみたいに。



桜、お前の呼吸は地上を浄化する。

俺の吐きだす空気を、浄化してくれる。



長く長く走ろう。ゆっくりでいいから、少しでも長く。

体が走ることに慣れるように。瞬発力を求める筋肉を作りあげるのは、ちいさな積み重ねでしかなくて。

長く長く走っていられるように。



心と体を作っていく。

みんな自分のためなんだけど、諦め悪くもがくのもいい。

譲れないなにかがあるなら


賭けるしかない






折り返し地点で欄干にもたれる。わずかにアーチを描く橋は淡い世界にくっきりと朱い。

流れていく はなびら

川辺は好きだ。何もない川へと腕をのばすように枝を広げる。枝垂れるように広がる枝は土手を覆うように低くたなびく。

淡い霞みから、こぼれるような黄色が映える。

菜の花も咲いている。



呼吸が落ち着く。

今だけ この景色を独り占めしている今は

この瞬間だけは俺のもの



やわらかな桜の香りに

まぶたの裏に焼き付く姿が重なる。少し首をかしげて。

淡い桜に 淡い思い

あわあわと揺れる