FULL MOON 6
しらじらと夜が明けていく。ぼんやりした頭で朝焼けを見ていた。薄く広がった雲が赤を吸い込んで輝く。端には金のような輝きをまとって。
今まで何度見たとか、これから何度見るのかなんて、どうでもよくなりそうな鮮やかさを持っている。
月の入りを確認して、まだ時間があることがわかる。
ぼんやりとした水鏡のように姿がぶれて二重映しになる。眠っている女の子と黒い猫。
ゆらゆらと揺れてぶれる。
風がたち波たつ水面のように揺れが大きくなり、泡立つ水面に二つの姿は掻き消されてしまう。
知らずに鼓動が早まる。
片足を立てて腰を浮かせたまま、意識して呼吸をとっている。
もし、なんて不安はいつもある。でも一番強く感じてしまう瞬間だ。
もし、意識がもどらなかったら…
もし、普通の猫になってしまったら…
もし、記憶を損なうなにかがおきたら…
頭を強く振る。
払わなければいけない不安で、変化に気づけなくなったらいけない。
大丈夫だ。
何かおきたなら、その時だってきっと対応できる。予測することと、不安になることを混同してはいけない。
光が生まれてくる。
ゆらゆらと揺れた水面を割って蛍火のような光が沸きあがる。輝きは範囲をせばめ人間ひとり分の大きさから、猫一匹分へと変化する。
蛍火が消え去るのを待って、猫にふれる。やわらかな毛並みに、規則正しい呼吸に、ほっと息をつく。
今回も俺の目の前から消え去らなかった。
この世とあの世の端境で、危ういバランスをとっている。
崩れさせないために、取り戻すために、立ち上がらなければいけなかった。なにかを引き換えにしなければいけないなら、迷いなく差し出す。
明けていく空に、忘れられたように星が光る。明るい強い輝きに無事を祈る。
眠りこけた猫は、手の平の下で寝返りをうった。
今まで何度見たとか、これから何度見るのかなんて、どうでもよくなりそうな鮮やかさを持っている。
月の入りを確認して、まだ時間があることがわかる。
ぼんやりとした水鏡のように姿がぶれて二重映しになる。眠っている女の子と黒い猫。
ゆらゆらと揺れてぶれる。
風がたち波たつ水面のように揺れが大きくなり、泡立つ水面に二つの姿は掻き消されてしまう。
知らずに鼓動が早まる。
片足を立てて腰を浮かせたまま、意識して呼吸をとっている。
もし、なんて不安はいつもある。でも一番強く感じてしまう瞬間だ。
もし、意識がもどらなかったら…
もし、普通の猫になってしまったら…
もし、記憶を損なうなにかがおきたら…
頭を強く振る。
払わなければいけない不安で、変化に気づけなくなったらいけない。
大丈夫だ。
何かおきたなら、その時だってきっと対応できる。予測することと、不安になることを混同してはいけない。
光が生まれてくる。
ゆらゆらと揺れた水面を割って蛍火のような光が沸きあがる。輝きは範囲をせばめ人間ひとり分の大きさから、猫一匹分へと変化する。
蛍火が消え去るのを待って、猫にふれる。やわらかな毛並みに、規則正しい呼吸に、ほっと息をつく。
今回も俺の目の前から消え去らなかった。
この世とあの世の端境で、危ういバランスをとっている。
崩れさせないために、取り戻すために、立ち上がらなければいけなかった。なにかを引き換えにしなければいけないなら、迷いなく差し出す。
明けていく空に、忘れられたように星が光る。明るい強い輝きに無事を祈る。
眠りこけた猫は、手の平の下で寝返りをうった。